空手の型、沖縄拳法で初めに覚える型ナイハンチ初段から五十四歩の凄さと面白さについて。
本日は、空手の型の凄さと面白さについてです。
今から約30年程前、私が学生の頃、中村丈人先生からよくこう言われました。
「型はやっているか?若いうちは組み手中心でいいけど、
型の鍛錬も疎かにするなよ。型は一生だよ。」
さて、沖縄拳法で初めに覚える型「ナイハンチ初段」
やればやるほど奥が深く、今でも新しい発見や成長を感じます。
まず特徴的なのが、横の動き。
ナイハンチ立ちの姿勢は、
「横」から押されても骨格でしっかりと耐えることができる強い立ち方です。
もちろん攻撃にも適しています。
手を出すだけで、骨格が揃った強い打撃になります。
しかし、弱点があります。
「正面」には弱い。
少し押されると後ろに倒れてしまいます。
それに対応する為にセイサン立ちというものがあり、
横の強さを正面に用いる方法が含まれております。
さて、
沖縄拳法の道場には、写真の様なサンドバックがあります。
これ、重心を乗せた突きでないとうまく動きません。
だから、(倒れ込んだ勢いではなく)水平の動きで重心が乗っている突きか?
などチェックできます。
「重心の移動による突きの威力」
言葉にすると簡単なのですが、とても難しい。
体に染み込ませる為には、
ナイハンチ初段など基本的な型を繰り返すしかありません。
すぐにはできるものではありませんが、繰り返した分だけ突きの強さは増します。
しかし・・・、
ほぼ誰でも、
重心移動による突きを「体現しやすい」攻撃手段があります。
それは・・・、
「双手突き」「諸手突き」です。
両手を同時に出しての突きは、
胸に集めた重心をほぼ伝えることができます。
しかし、不思議なのが、
それを「片手」でやると、
途端に体が弛んでしまい、突きが弱くなります。
その問題に対して、片手でも威力が乗る突きを身につける手段が、
ナイハンチ初段などの基本型なのです。
体を上下や左右、
胸や腹や背中をピンと張った状態(ナイハンチ立ち)での突き動作は、
体をタオルの様に絞っている状態と一緒なので、かなりきついのですが、
繰り返せば繰り返すほど、弛まない体になり、威力は増してきます。
さて、沖縄拳法には、空手型26種、古武道型27種がございます。
鍛錬(鍛え)の型、技の型、
あらゆる状況下での戦略・戦術を伝える型など様々です。
その中に、「五十四歩」という型があります。
(ちなみに、沖縄拳法の五十四歩は他の流派と異なり独特です)
その型は、基本型と異なり、たくさんの技が入っております。
突きや掌底、投げ技、喉の掴み方や後ろから掴まれた時の対処方法など
特殊な技が組み込まれております。
実は・・・、
その型の一番初めの攻撃と最後の攻撃は、
(威力が出やすい)双手突きなのです。
五十四歩をやる度に、理にかなっているし、
後世にそれを伝えようとする先人の優しさと技の怖さを感じます。
空手の型は、先人達の多くの知恵が含まれております。
これからも大切にして学んでいきたいと思います。