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「ビニール傘」 岸政彦

喪失感と虚無感。孤独。

本書を纏める事は不可能と思う。
ビニール傘を居場所と訳した。

重苦しい空気が流れている。大阪にいる男女。生きる為に働く。出会いと別れと同じ次元に、生きる死ぬがある。様々な人、断片的な視点は、彷徨い続ける人を浮き彫りにする。

社会学者の著者だからだろうか。あまり創作は感じられず、ただ苦しい感情だけ、呼び起こされた。


飽和する自分。
あるモノばかりに夢中になり、ないモノを忘れる。無いモノこそが、自分に足りないもの、必要なものを教えてくれる。

彼女と諍いが多いのも、もしかしたら、2人でいる意味が無い所以なのかもしれない。人は壁を前にして初めて、1人の苦しさ(無意味さ)を実感して共存を求める。

鼻息で消えた蝋燭。溶けた蝋は残された蝋燭を覆い、機能を奪う。しかし無駄では無い。

持たれ合いと支え合いは違う。

自分に無いモノ
最近鼓動が早い。何故。

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