「辺境の路地へ」 上原善広
新しい人と会う機会が多い。
殆どの人が50代(私の倍、生きてる)で、多岐に渡り、知見を教授頂く。
彼等全ての人が輝いて見え、安穏な日々を送るものと信じている。しかし、そういう訳はなく、見難い事を経て(現在も)、過ごしている事に気付かされる。
先日も、商社のマネージャーと話し込んだ。
5人の子と専業主婦に囲まれている。
しかし、奥さんと長く口を効かず、予期せぬ出産もあり、最後の子は已む無い言い様だった。転職も考えている。この会社は入社3年目で、人間関係は思うものではない。業者にも泣かされている。
溢れ出す謗りに、私は動揺したが、この様な人の方が、信頼できてしまうのである。
本書は、著者が様々な見聞や遭逢を綴ったものであり、所望したそのものであった。
知らない方が良かった、と思う機会が多い。
本書“温泉芸者”の話では、芸者の美しさに、裏での厭らしさが際立つ。
所属上司が変わった。派閥や考え、折の悪さがあり、状況を複雑化させる。色々な人と仲良くし過ぎると、考えなくてはならない事が増える。鵜呑みにし過ぎず、偏りが無い様、考える一方で、両者に申し訳ない気持ちが芽生えるのである。
リアルを知りたくて、でも知りたくなくて。
世界は綺麗で、何ひとつ、道理に背かない。
そう思っていた方が、幸せなのかもしれない。
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