「A comparative study of deep learning-based knowledge-based planning methods for 3D dose distribution prediction of head and neck」を読んで
URL
https://aapm.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/acm2.14015
読んでみたきっかけ
線量分布を予測する深層学習を使用した 知識ベース計画(KBP)アルゴリズムがGithub(https://github.com/ababier/open-kbp)にあり、open sourceで使用可能であることは知っていたんですけど、それについて書かれた論文を読んでも理解できなかったので、open-kbpを使い成果が出た論文に興味が湧き読んでみるきっかけとなりました。
論文の要旨(まとめにBardを使用)
深層学習を用いた4つのKBP線量予測モデルを比較した。3D U-Netアーキテクチャをベースとしたモデルは、ボクセルごとの線量予測においてほぼ同等の性能を示した。これらのモデルは、頭頸部癌患者の3D線量分布を予測するために臨床に応用できる。
現場でやっている医学物理士の感想
INTRODUCTION
そーなんですね。知らなかった。もっと勉強しようっと。
「予測」というのが、どうやって実際の作業と結びつくのか知りたいと思いました。
深層学習アルゴリズムのトレーニングは、データセットに大きく依存するらしいです。KBPでは、CTとストラクチャーなどの患者さん情報が与えられているらしいので、同一のデータセットでトレーニングし、その後、特定のテスト データ セット(トレーニングとは異なる)でモデルを評価することです。ちなみに、どういうデータが最も効率が良いモデルを作れるか、とか現状でわかるんでしょうか?
MATERIALS AND METHODS
対象は、中咽頭がん340名、IMRTの照射計画、PTV/OARは囲み済み。総線量70Gy、35分割。
「ネットワークアーキテクチャ」の章は、難しくて良くわからないのですが、「○○U-Net」というのは画像セグメンテーションのことらしいのですね。これの性能が良ければ、予測した治療計画と実際の計画は誤差がほとんどない、ということなんでしょうね。論文の肝なんですね。
実際のトレーニングでは値を入力するところがたぶんあるんですね。モデルの再利用とかはできない?、あるいはメリットがないのかな?。
また、見に行ってみよう。
RESULTS
予測線量分布 vs 「ground-truth」線量分布で比較をしているんですね。「ground-truth」というはどうやって出しているのかなと思いました。この論文にはないみたいですので、open-kbpの論文に載っているのでしょう。
予測線量分布画像群を出力するのは、現実とマッチしてすごいなあと思うんですけど、実際の計画の最適化とは別の話ですよね。なんか以前勉強会でPlanIQ(https://www.sunnuclear.com/products/planiq)の発表を見たと思います。企業とオープンソースの違いはあれど同じようなものなんですかね。
「DVH 曲線比較 (PTV と OAR) 。すべてのモデルは、PTV および OAR のグラウンド トゥルースに匹敵する DVH 曲線を予測できた」おー、👏。
Discussion
等等いろいろなメリットがあるのですね。すごい。
これからの課題
VMATに適用、臨床実践でのビームの方向選択、クロスバリデーション(データセットの複数の異なるフォールドですべてのアーキテクチャを訓練、検証、テストすること)を実施ことに対する課題があるのかなと思いました。
その他
以前にopen-kbpを Google Colabを使用してクラウド (無料)で使用したらどんないいことが起こるんだろうとチャレンジしましたが、うまくいきませんでした。この論文を読んだことで、線量予測というのはこんなアルゴリズムを使ってやっているんだろうな、というのがわかって非常に良かったと思います。
なにせ読むのが難しかった!ふー。
May 12, 2023
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