AIを神とする未来
AIを利用したサービスや家電製品がどんどん登場している。
ビッグデータと呼ばれる膨大な情報をもとに、そこから読み取れる特徴や傾向を判断したり、作業効率をあげたり、将来性を推測したりすることが可能なわけだが、やがて人工知能は日常生活に入り込み、個人のライフスタイルに合わせてデータを蓄積して運用データを自ら学習して、サポートするようになっていくだろう。
AIの効用はこのまま広く認知されるようになれば、便利で安心、安全なものだからプライバシーに関して抵抗はありつつも、あっという間に慣れ親しんでしまうだろう。
世代が変われば、職人や芸術家がロボットに肩代わりされるようになっても、現代のスマホのように浸透していくに違いない。
ところで、この人工知能隆盛の時代にあって、いずれ誰かがやるかもしれなかったことだが、Googleの元エンジニアであるアンソニー・レヴァンドスキー氏という人が人工知能を“神”と標榜する宗教団体「未来への道」を創設していたらしい。
「人工知能に付与された神聖を崇拝することで社会をより良くすること」とあるがどういうものかはよく分からない。最近、トランプ大統領に嫌われ気味のヨハネの四騎士(GAFA)からのメッセージかもしれない。
このままAI活用を前提に社会づくりが進み、ヒトよりもAIが成果を出すような社会になれば、「理由は分からないが、AIが出した答えだから」と安易な発想が広がる可能性がある。
そこで、科学と倫理が対立する場面に遭遇すれば、「神」や「宗教」が必要になるわけだが、最終的には人類は十分に議論し、吟味・精査する主体性や思考能力が求められていく。
「未来への道」はその布石かもしれない。
AIを神とする未来が、もし訪れたなら、それは、人類が便利さと引き換えにまた一つ、大切なものを失った世界といえるだろう。