ベルヌーイ型の微分方程式
ベルヌーイ型の微分方程式について、簡単に解説します。
1.ベルヌーイ型の微分方程式とは?
ベルヌーイ型の微分方程式とは、次の形の微分方程式のことです。
$${y'+P(x)y=Q(x)y^n}$$…(ア)
ここで、$${y=y(x)}$$は$${x}$$の未知関数、ダッシュは$${x}$$での微分、$${P(x),Q(x)}$$は$${x}$$の関数、$${n}$$は$${0,1}$$以外の定数です。
2.ベルヌーイ型の微分方程式の解法
(ア)の解法を説明します。
唐突ですが、(ア)の両辺を$${y^n}$$で割ります。すると、
$${y^{-n}y'+P(x)y^{-n+1}=Q(x)}$$
$${\displaystyle \Leftrightarrow \Bigl( \frac{y^{-n+1}}{-n+1} \Bigr)'+P(x)y^{-n+1}=Q(x)}$$
分母を払って
$${(y^{-n+1})'+(-n+1)P(x)y^{-n+1}=(-n+1)Q(x)}$$
となります。
これより、$${z=y^{-n+1}}$$とおけば、上式は
$${z'+(-n+1)P(x)z=(-n+1)Q(x)}$$…(イ)
となり、$${z}$$の線形1階微分方程式になります。これを解くには、$${(-n+1)P(x)}$$の原始関数の1つ$${R(x)}$$に対し、(イ)の両辺に$${e^{R(x)}}$$をかけて考えれば良いですね(線形1階微分方程式の解法の基本!)。このとき、(イ)は
$${e^{R(x)}z'+e^{R(x)}R'(x)z=(-n+1)e^{R(x)}Q(x)}$$
$${\Leftrightarrow (e^{R(x)}z)'=(-n+1)e^{R(x)}Q(x)}$$
$${\displaystyle \Leftrightarrow e^{R(x)}z=\int (-n+1)e^{R(x)}Q(x)~dx}$$
$${\displaystyle \Leftrightarrow z=e^{-R(x)}\int (-n+1)e^{R(x)}Q(x)~dx}$$
となります。あとは$${\displaystyle y=z^{\large \frac{1}{-n+1}}}$$を計算すれば良いですね。
3.具体的に解いてみよう
解答:
①の両辺を$${y^2}$$で割って、
$${y^{-2}y'+2y^{-1}=x-1}$$
$${\Leftrightarrow (-y^{-1})'+2y^{-1}=x-1}$$
$${\Leftrightarrow (y^{-1})'-2y^{-1}=-x+1}$$
これより、$${z=y^{-1}}$$とおけば、上式は
$${z'-2z=-x+1}$$…②
となる。両辺に$${e^{-2x}}$$($${-2x}$$は②の左辺の$${z}$$の係数$${-2}$$の原始関数の1つ)をかけて、
$${e^{-2x}z'-2e^{-2x}z=(-x+1)e^{-2x}}$$
$${\Leftrightarrow (e^{-2x}z)'=(-x+1)e^{-2x}}$$
$${\displaystyle \Leftrightarrow e^{-2x}z=\int (-x+1)e^{-2x}~dx}$$
$${\displaystyle =(-x+1)\cdot\frac{e^{-2x}}{-2}-(-1)\cdot\frac{e^{-2x}}{4}+C}$$
$${\displaystyle =\frac{1}{4}(2x-1)e^{-2x}+C}$$
$${\displaystyle \Leftrightarrow z=\frac{1}{4}(2x-1)+Ce^{2x}}$$
∴$${\displaystyle y^{-1}=\frac{1}{4}(2x-1)+Ce^{2x}}$$…③
ここで、初期条件$${y(0)=4}$$より、③に$${x=0}$$を代入して、
$${\displaystyle \frac{1}{4}=\frac{1}{4}\cdot(-1)+Ce^{0}}$$ ∴$${\displaystyle C=\frac{1}{2}}$$
これを③に代入して、
$${\displaystyle y^{-1}=\frac{1}{4}(2x-1)+\frac{1}{2}e^{2x}=\frac{2x-1+2e^{2x}}{4}}$$
∴$${\displaystyle y=\frac{4}{2x-1+2e^{2x}}}$$
が得られる。
4.なぜこの記事を書いたか
私が数検1級を受験した際に、ベルヌーイ型の微分方程式が解けなかったから、です。他の問題はすべて解いたのですが、ベルヌーイ型の微分方程式だけ解法が思いつかず、ほぼ白紙で提出しました。そのため、数検1級の2次は正答数が3問/4問中でした。悔しい…。と言うことで、自分の復習用、また今後の数検1級受験生に参考にして頂けるよう、ここに解法をまとめたのでした。ベルヌーイ型の微分方程式の解法、学生時代にもやった記憶が無いんですよね(忘れているだけかもしれませんが)。
ちなみに、試験後にSNSを見たのですが、この問題が解けていた人は多いようです。一緒に受験したLさんも解けていた、とのことです。おそらく、数検1級の対策問題集にベルヌーイ型の微分方程式の解法がきちんと掲載されているのでしょう。やはり、対策本はきちんと演習したほうが良いですね。私は、「解法暗記が必須の微分方程式」の解法暗記をほとんどサボったのですが(マニアックな変形が必要な微分方程式は、ほぼ出ないだろう、と思っていた)、このせいで満点合格を逃してしまったわけです。本当に悔しい!ということで、今後数検1級を受験する皆さん、解法暗記が必須の微分方程式もしっかり学習しておきましょう!(面白くないかもしれないですが…)
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