
ケンブリッヂの入試 口頭試問問題サンプルの1問
[問題]
$${\displaystyle \int_{-3}^3 \frac{x^{10000}-1}{x^{10000}+1}dx}$$を誤差$${3\%}$$でみつもれ。
(ケンブリッヂ大学 口頭試験問題サンプル 問8)
数学セミナー 2017年4月号「試験のゆめ・数理のうつつ」(時枝 正 先生)の第1回「ケンブリッヂの入試」より抜粋しました。理系の大学受験生の皆さんは、ぜひ考えてみてください。
(定積分の数値評価に関する問題は、大学入試でもしばしば出題されます)
解答は以下のツイートの下にあります。
理系の大学受験生の皆さん、時間のあるときにぜひ考えてみてください。(数学セミナー 2017年4月号「ケンブリッヂの入試」より抜粋) pic.twitter.com/P136hauc3Z
— 大澤裕一 (@HirokazuOHSAWA) November 6, 2023

実は、はじめは以下のツイートのような解答を用意したのですが、数学するひよこさん(@mathmathpiyopi1)に$${B}$$の下からの評価の良いアイデアを教えていただきました(上の解答は、そのアイデアを反映したものです)。有り難うございました。
解答例を作成しました。
— 大澤裕一 (@HirokazuOHSAWA) November 8, 2023
もっと良い方法があれば教えてください! https://t.co/gl6HZU8fOz pic.twitter.com/WMDpmgYtWa
Bの評価方法は以下のようにするのはどうでしょうか?
— 数学するひよこ (@mathmathpiyopi1) November 9, 2023
f(x)=1/(1+x^10000)とする。
0≦x≦1 のとき 1-x^10000≦f(x)≦1,
1≦x≦3のとき 0≦f(x)≦1/x^10000
なので、それぞれの範囲で辺々積分して和を取ることで
1-1/10001≦B≦1-(1/9999)・(1/3^9999-1)<1+1/9999
従って、0.9999<B<1.0002.
有り難うございます!下からの評価が上手いですね!
— 大澤裕一 (@HirokazuOHSAWA) November 9, 2023
0≦x<1の時に、例えば
— 数学するひよこ (@mathmathpiyopi1) November 9, 2023
1-x+x^2-x^3≦1/(1+x)≦1-x+x^2ですね。
高校数学では若干技巧的な感じですが、マクローリン展開の形(係数が交代的で係数の絶対値が単調非増大)から自動的に従う、と考えることも可能ですね。
だからsinxやe^(-x),などでも類似の主張が成立し、誤差評価が気楽になりますね
。
下からの評価を改良しました。 数学するひよこさん(@mathmathpiyopi1)にご教示頂きました。有り難うございました。https://t.co/qwNmNYDE4Q pic.twitter.com/G05zSb7w0c
— 大澤裕一 (@HirokazuOHSAWA) November 9, 2023
失礼します。誤差評価をする際に、積分区間を1で区切るよりも、1±δ で区切ったほうが複雑な積分を避けられそうな気がするのですが、いかがでしょうか。変化の少ない穏やかな領域と変化の激しい領域とに5分割し、それぞれ上からの評価と下からの評価を定数関数で与えれば良さそうな気がします。
— 常微分方程式入門 (@ode4phys) November 8, 2023
アドバイス有り難うございます。なるほど。確かに、x=1の近傍とそれ以外の範囲で定積分を分けた方が評価しやすいかもしれませんね。考えてみます!
— 大澤裕一 (@HirokazuOHSAWA) November 8, 2023