この多項式は可約か?既約か?
なかなかの難問だと思います。興味のある方は、ぜひチャレンジしてください。解答は、以下のツイート(上の問題を$${n=4,5,6}$$として出題したもの)の下にあります。
[解答]
(i) $${\underline{n=4のとき}}$$
$${f_4(x)=(x-1)(x-4)\cdot(x-2)(x-3)+1}$$
$${=\{(x^2-5x)+4\}\{(x^2-5x)+6\}+1}$$
$${=(x^2-5x)^2+10(x^2-5x)+25=(x^2-5x+5)^2}$$
よって、$${f_4(x)}$$は整数係数で可約である。
(ii) $${\underline{n \geqq 5のとき}}$$
$${f_n(x)}$$が整数係数で可約、つまり、ある整数係数の$${n-1}$$次以下の多項式$${g(x),h(x)}$$に対し、$${f_n(x)=g(x)h(x)}$$が成り立つとする。
すると、$${k=1,2,\cdots,n}$$に対し、$${f_n(k)~=g(k)h(k)}$$は$${1}$$となる。これと$${g(k),h(k)}$$が整数(∵$${g(x),h(x)}$$が整数係数の多項式)であることから、$${g(k)=h(k)(=\pm 1)}$$とわかる。これと、$${g(x),h(x)}$$が$${n-1}$$次以下であることから、$${g(x)}$$と$${h(x)}$$は多項式として一致する(∵多項式一致の定理→(注))。
これより、$${f_(x)=g(x)^2}$$となるので、$${n}$$は偶数と分かり、またすべての実数$${\alpha}$$に対して$${f(\alpha)\geqq 0}$$となる。
しかし、
$${\displaystyle f \left( \frac{3}{2} \right)=\frac{1}{2}\left(-\frac{1}{2} \right)\left(-\frac{3}{2} \right)\left(-\frac{5}{2} \right)\left(-\frac{7}{2} \right)\left(-\frac{9}{2} \right)\cdots\left(-\frac{2n-3}{2} \right)+1}$$
$${\displaystyle \leqq\frac{1}{2}\left(-\frac{1}{2} \right)\left(-\frac{3}{2} \right)\left(-\frac{5}{2} \right)\left(-\frac{7}{2} \right)\left(-\frac{9}{2} \right)+1=-\frac{945}{64}+1<0}$$
となるので、矛盾する。
よって、$${f_n(x)}$$は整数係数で既約である。
以上をまとめると、
$${f_n(x)}$$は$${n=4}$$で可約、$${n \geqq 5}$$で既約
(注) 多項式一致の定理について
[証明]
$${h(x)=f(x)-g(x)}$$とおくと、$${k=1,2,\cdots,n+1}$$に対して$${h(\alpha_k)=0}$$(∵$${f(\alpha_k)=g(\alpha_k)}$$)より、$${h(x)}$$は$${(x-\alpha_1)(x-\alpha_2)\cdots(x-\alpha_{n+1})}$$を因数に持つ。この商を$${Q(x)}$$とおくと、$${h(x)}$$が$${n}$$次以下(∵$${f(x),g(x)}$$が$${n}$$次以下)および$${(x-\alpha_1)(x-\alpha_2)\cdots(x-\alpha_{n+1})}$$が$${n+1}$$次であることを合せて考えて、$${Q(x)=0}$$(ゼロ多項式)と分かる。よって、$${h(x)=0}$$なので$${f(x)-g(x)=0}$$、つまり$${f(x),g(x)}$$は多項式として一致する。//
[追記(2024/08/20(火))]
1980年の京大理系で、本問の関連問題が出題されていました。ガチノビ先生に教えて頂きました。有り難うございました。