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log(cos(x))の定積分

[問題]
次の定積分の値を求めよ。
   $${\displaystyle I=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\log(\cos x)dx}$$

$${\displaystyle x=\frac{\pi}{2}}$$のとき$${\cos x=0}$$なので、この積分は広義積分です。この広義積分が収束することは認めて良いこととし、この定積分を求めててみてください。高校数学の範囲で解けます(ちなみに、この広義積分が収束することも高校範囲で示せます(このnoteの一番下に掲載した立命館大(2019)の入試問題を参照してください))。解答・解説は、以下のツイートの下にあります。

[解答・解説]
まず、以下の等式が成り立つことを確認します。

$${a}$$を正の定数とし、$${f(x)}$$を$${0 \leqq x \leqq a}$$で連続な関数とする。
(1) $${\displaystyle \int_{0}^{a}f(x)dx=\int_{0}^{a}f(a-x)dx}$$
(2) $${f(x)=f(a-x)~(0 \leqq x \leqq a)}$$のとき、
  $${\displaystyle \int_{0}^{a}f(x)dx=2\int_{0}^{\frac{a}{2}}f(x)dx}$$

(1)については、2曲線$${y=f(x),y=f(a-x)}$$が直線$${\displaystyle x=\frac{a}{2}}$$に関して線対称であることから、その成立が分かります(次図を参照)。いわゆる「King Property」と呼ばれる性質ですね。式できちんと示すのであれば、左辺の定積分を$${x=a-t}$$と置換して計算すれば良いです。

また、(2)については、仮定が「曲線$${y=f(x)}$$が直線$${\displaystyle x=\frac{a}{2}}$$に関して線対称」であることから、その成立が分かります(次図を参照)。式できちんと示すのであれば、左辺の定積分を$${\displaystyle \int_{0}^{\frac{a}{2}}f(x)dx+\int_{\frac{a}{2}}^{a}f(x)dx}$$と分け、2個目の定積分を$${x=a-t}$$と置換して計算すれば良いです。

では、この問題を解いていきましょう。
まず、(1)より$${I}$$は$${\displaystyle \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\log\left(\cos\left(\frac{\pi}{2}-x\right)\right)dx}$$つまり
 $${\displaystyle \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\log(\sin x)dx}$$
に等しいことが分かります。これを$${J}$$と置きます。

次に、$${I+J (=2I)}$$を計算します(この手の問題でよくやる計算です)。
 $${\displaystyle 2I=I+J=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\log(\cos x)dx+\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\log(\sin x)dx}$$
  $${\displaystyle =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}(\log(\cos x)+\log(\sin x))dx=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\log(\cos x\sin x)dx}$$
  $${\displaystyle =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\log \left(\frac{\sin 2x}{2}\right)dx =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}(\log (\sin 2x)-\log 2)dx}$$
 ∴$${\displaystyle 2I=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\log (\sin 2x)dx-\frac{\pi}{2}\log 2}$$…①
右辺に、$${I}$$と似た定積分が現れましたね。これを考えていきましょう。

①の右辺の定積分を$${K}$$とし、$${K}$$において$${2x=t}$$と置換すると、
 $${\displaystyle K=\int_{t=0}^{t=\pi} \log (\sin t) \cdot\frac{1}{2}dt=\frac{1}{2} \int_{0}^{\pi} \log (\sin x)dx}$$
です。
また、$${\displaystyle \sin x=\sin (\pi -x)}$$(つまり、曲線$${y=\sin x}$$は直線$${\displaystyle x=\frac{\pi}{2}}$$に関して対称)です。
これより、(2)を用いることで、上の定積分は
 $${\displaystyle K=\frac{1}{2} \cdot 2\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \log (\sin x)dx =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \log (\sin x)dx}$$
となります。これは、$${I}$$そのものですね。

以上より、①は
  $${\displaystyle 2I=I-\frac{\pi}{2}\log 2}$$
となります。これを$${I}$$について解いて
  $${\displaystyle I=-\frac{\pi}{2}\log 2}$$
が得られます。

[参考]
立命館大(2019)の入試で、関連する問題が出題されました。


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