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自分なりの「デザイン研究」
7月1日より、東京大学大学院情報学環の特任研究員を拝命しました。
元々はなんとなくデザイナーってかっこいいなと思ったところからスタートした今のキャリアですが、千葉工大に10年も通うことになるとは想像してませんでしたし、まさか東大と関わりを持つなんて夢にも思ってませんでした。
そんなこんなで、自分で思っていたよりもアカデミックなキャリアに進むことになった訳ですが、そもそも自分にとって研究することがなんなのか、改めて整理しときたいなと思います。
きっかけ
改めて、自分のポジションを整理するところから。
博士課程は工学専攻なので、博士(工学)となる予定です。だから本来はガチガチのエンジニアリングの知識を有していなければ、、、という感じなのですが、おそらく持ち合わせている部分とすれば、デジタルファブリケーションの文脈と、ナイジェルクロスが提唱しているエンジニアリングデザインの考え方をある程度学んだところにあると思います。
あとは概念設計の話もかなり修士課程の時に影響を受けたかなと思います。
製品開発における上流設計の重要性とその方法
https://www.toshiba.co.jp/tech/review/2005/01/60_01pdf/b02.pdf
この辺りを指導教官である長尾先生から示され、自分なりに概念を考えるってどういうことだろうと考え始めたあたりが研究のスタートだったように思えます。
意味のデザインとプログラムマネジメント
今の研究領域の主なテーマは、意味のデザインについてです。
この文脈に興味を持ったきっかけは、これまた長尾先生から、中邑賢龍先生の凹デザインと、川上浩司先生の不便益に関しての資料をもらったことだったと思います。
当初修士論文はこの辺りをテーマにしようと思っていたのですが、凹や不便であっても、別の見方をすればそれは強みになる、という切り口はわかっていても、それをどう展開すればいいのかわからずにいました。
そんな中で、ベルガンティ先生の『デザイン・ドリブン・イノベーション』とクリッペンドルフ先生の『意味論的展開』の本を読んで、自分がやりたかったのはこういうことだ!と気づいたところから、今の研究が始まっています。
意味のデザインについては、この研究領域での議論が盛り上がってきた段階なので、また別に自分なりの考えをまとめようと思いますが、ベルガンティ先生の『突破するデザイン』の中にも出てくる、アンドリュー・ソロモンの言葉「Forge Meaning Build Identity」という言葉が最近とても好きです。
" Forging meaning is about changing yourself. Building identity is about changing the world. "
加えて国際P2M学会というところで、研究発表しています。P2MとはProject & Program Management のことで、従来のPMの概念に、Program マネジメント体系を加えた概念です。
このProgramの概念は、状況の変化に戦略的に対応する為に取り入れられた考え方であり、以下のような5つの基本精神に立脚しています。
(1) ゼロベースで思考する(2) 環境変化へ柔軟に対応する(3) 多様化する価値を認知する(4) 知識資源を共有する(5) 環境変化を先取りできる速度で行動するhttp://www.iap2m.org/pdf/maga/20160605_0.pdf
こうした文脈や、様々な後輩のPBLのファシリテーションなどをしてきた経験から、どうしたら自分なりの視座を持つことができるようになるのかに大きな興味を持つようになりました。
全体としては、意味を創り出す(鍛造する)ことができるようになる為にはどうしたらいいのか、そのための学びの場はどうあるべきか、というところが大きい意味でのリサーチクエスチョンになっていると思います。
これから
ミミクリデザインで一緒に働いている志田ちゃんのコラムにもありますが、考え方の考え方という観点が今日非常に求められているように思えます。
様々な思考法はすでに沢山考案されています。恐らくどんな案件であっても、アイデアをひねり出すこと自体は基本的に頑張ればできるようになってきています。強制発想法使えば、アイデア自体は出せるんです。
でも問題はそのアイデアがどう自分のものになっていくか。ただ単にプロセスを追っていくだけだと、出てくるのは似たようなアイデアになってしまう可能性があります。
自分たちだからこそ鍛造することができるアイデアや意味にどうやったらたどり着けるのか
その為には自らが主体的にプロセスを構築していくことができるようになるということ、簡単にいうと、工夫し続けられる人になれるかどうか、だと思っています。
こういう文脈から、非常に教育系の研究領域に親和性を感じており、ミミクリ内で交わされる教育系の論文の話はどれも面白いものばかりです。
先日安斎先生と対談させていただいた記事での、「哲学的前進」の話もそうですし、ミミクリのメンバーと話していても、毎日自分の知らなかった文脈が次々と示されてとても刺激的な毎日です。
お前は考えてない。悩んでるだけだ。
長尾先生に修士1年~2年の時に言われ続けた言葉の一つです。
悩むことと考えることは何が違うのか。
それは「どうしたらいいか?」から「こうしてみてはどうか?」への転換だと思います。
自ら工夫し続けることができれば、たとえ失敗は多くとも、自分らしい考えが生まれてくるのではないかと思っています。
じゃあどうしたらそれができるのか、そういうことができる場を作れるのか
まとまりが無いですが、この辺りが、自分にとってのデザイン研究のフィールドだと思っています。
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![Hirokazu Oda (Dan)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/91659273/profile_1549da6756ba7834a083da47716e87f2.jpg?width=600&crop=1:1,smart)