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プロローグ〜北海道ツーリング2022

2022年8月12日。
その日は朝から台風の接近で都内は微妙な天気だった。
思えばこのあと起こることを示唆していたのかもしれない。

今日は2022年の北海道ツーリングに旅立つ日。仕事を時間通りに終わらせて、旅の相棒であるセローに荷物を積み込む。勿論大枠の荷物は事前にパッキング済み。最後に着替えと電子機器類を詰めるだけだ。

荷物の積み方はこのところパターン化している。

  • 15年来使っているヘプコ&ベッカーのトップケース(48L)

  • モトフィズのツアーシェルケース2(20L x 2)

  • モトフィズのフィールドシートバッグ(39-59L)

  • ヘンリービギンズのタンクバッグ(5L)

という構成。これにキャンプ道具を含めたすべての装備を納める。
シートバッグにはゴムネットを掛けているので、一時的な追加荷物を積むこともできる。
これ以上荷物を増やすと着座時に身動きが取れなくなるし、セロー自体も登り坂が辛くなる。

初っ端からブースターを使う羽目に

さて。
準備も全て終わり、いざセローのエンジンを掛けようとすると…。
キーオンで電源は入るのにセルは回らない…。
先月あたりからバッテリーが怪しいとは感じていたのだが、海の日の連休前後に乗ったときには問題がなかったハズ…。
とりあえず車からブースターケーブルを伸ばし、セローに繋いでエンジンを掛ける。
充電不足ならば走っていれば回復するはずなので最初の給油までに解消するハズだ。

三芳パーキングエリアでいきなり足止め

雨が微妙に降ってきたので、給油と休憩を兼ねて関越道の三芳パーキングエリアに立ち寄った。

出発から雨

一服してから給油のためにGSへセローを移動させようとすると…セルが回らない。
そういやETCゲートの反応が怪しかったな…。
ここでようやく気がつく。

バッテリーが死んでいて充電できない

いやもっと早く気がつけと。むしろバッテリーがヘタってるとわかったときに交換しておけと。「後悔先に立たず」とは本当によく言ったものだと痛感する。
凹んでいてもはじまらないので、とりあえずGSで給油をしJAFを呼ぶ。入っててよかったJAF。

30分程度で隊員の方に来てもらえたので、ブースターをかけてもらう。
やはりブーストするとエンジンは掛かるのでジェネレーターなどではなさそうだ。とにかく新潟まで行けばバイク用品店があるのでバッテリーの店頭在庫があるはずだ(希望的観測)。

新潟まで燃料が持たない

とはいえセローのタンクは9Lほど。警告灯がつくのは残り2Lを切るあたり。
いくら燃費が良くても高速では燃費が落ちる。リッターバイクなら逆だろうが、250ccの単気筒だとそんなわけにはいかない。おまけに最終型ではないので高速なら35km/Lくらいを見込んでおくのが賢明か。そうなると250キロ以内で給油するのが無難。
そうなると練馬から新潟までが330km前後なので、三芳パーキングエリアで満タンにした今の状態ではどこかでもう1回給油が必要になる。
次の給油地のGSにブースターがある事を祈りつつ、深夜の関越道を新潟に向けて黙々と走り続ける。

越後川口サービスエリアで…

三芳パーキングエリアから約200km。
止まりたくないけれど、気力と体力は削られるし、無理のないうちに給油はしなければいけない。致し方ないので越後川口サービスエリアで休憩を取ることにした。(もちろんエンジンを止めると次はブーストしないと掛からない)

ひと晩に2回もJAFを呼ぶのは流石にまずいので、先にGSの人に聞いてみる。
どうやらこのGSにはブースターがあるようだ。
ここで給油をすれば新潟まで確実にたどり着ける。
時間は午前3時。多少ここで長めの休憩をとっても用品店の営業開始までは十分すぎるほど時間はある。

東の空が少し明るくなってきた頃合いを見て、給油とブーストをしてもらい、新潟へ向けて移動を開始した。

新潟2りんかんでバッテリーを調達!

新潟市内についたのは午前6時頃。
新潟2りんかんの営業開始は午前10時。4時間もあるが、ひたすら待つしかない。

ちなみにフェリーの出港は12時。バイクの乗船開始はかなり早い時間から始まるので、開店と同時にバッテリーを調達できれば間に合うはずだ。

などと店舗前で黄昏れること4時間。
幸いなことに多少値が張りはしたものの、セロー用バッテリーを手に入れることができた。
交換に必要な工具は抜かりなく積載していたので、速やかにバッテリーを交換する。どうやらまだ運に見放されてはいないようだ。

無事に乗船!

バッテリーを交換し終えたあたりから、新潟市内は土砂降りの雨が降っていた。

土砂降りのフェリーターミナル

2りんかんからフェリーターミナルまでは数kmの距離。どうせこのあとは船内で過ごすだけなので、雨具を装備せずにターミナルへ走る。あっという間にずぶ濡れになるような降り方なので、給油や船内で食べるものの調達も全部パス。

乗船受付後、すぐに乗船できたのは幸いだった。
これでなんとか北海道に渡れる。

ずぶ濡れで着艦

とりあえず落ち着きたい

バタバタだったのでろくに食事をとっていなかった。
買い物もできなかったので、船内のスナックコーナーでピザとコーラを注文。

空腹に沁みる…

空腹にピザが沁みる。ビールといきたいところだが、このあと風呂とサウナがあるので我慢。サウナ前に飲酒はよろしくない。

今年のテーマ「サ旅」

新日本海フェリーの船には露天風呂とサウナがある。去年はサウナが閉鎖されていたが、今年は利用できることを事前に確認済み。
今回の北海道ツーリングでは「1日1サウナ」を目標にした所謂「サ旅」を考えている。
基本的にキャンプ旅なので、毎日のルート上にある銭湯やホテルの日帰り湯を利用する想定だ。
その最初と最後はこの新日本海フェリーの船内サウナときめてある。

船内の入浴施設の場合、船窓から海を眺められるのは割とよくあるが、新日本海フェリーの場合はなんと「露天風呂」がある。
男湯については出港するまで開放されないルールのようなので、出港してから入るのがオススメ。
船が航行していると海風が吹き込むので、サウナ後の外気浴にはもってこいだ。

気がつくと夕方

徹夜の移動とトラブルで張り詰めていた心身をようやく落ち着けることができた。
寝台でボンヤリしていると、案の定睡魔に襲われたらしく、気がついたときには夕方になっていた。

甲板から夕日を眺める

フェリー旅は基本暇なもの。
無事に乗船できた幸運に感謝をしつつ、もう一度風呂と睡眠のセットを堪能するのだった。

ちなみに

今回の顛末を誰に話しても、

整備と点検不足なんじゃないの?

と言われる始末。当たり前といえば当たり前。
とはいえ出発前にはきちんと点検に出していたし、その時はバッテリーも問題はなかったのだ。
もしかすると経年劣化に酷暑が拍車をかけたのかもしれない。どのような理由があるにせよ、バッテリーが不調である状態を放置した自分が一番悪いのだ。
運良くバッテリーが調達できたから良かったものの、手に入らなければいきなりツーリング終了となるところだった点については大いに反省しなければならない。

と、そんなことを考えながらも船は小樽港へ向けて進んでいくのだった。

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Hirokazu Nishi
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