
玉虫色
「玉虫の中でも、日本や朝鮮半島、台湾などに分布するヤマトタマムシは、体長3センチほど。
深い緑色の翅は金や赤の線に囲まれた黒紫も混じり、光線の具合によっては金属的な緑から紫に輝いて見える。
その多彩で複雑な色調は虫襖(むしあお)、あるいは玉虫色と呼ばれている。」吉岡幸雄著『日本の色辞典』P.175より抜粋
今の時代、あまりポジティブな意味合いで使われない玉虫色という言葉。
いつ頃からそうなったのだろう。

法隆寺所蔵、飛鳥時代の国宝「玉虫厨子」の梁部、柱などにわずかに残る「タマムシの翅」を見たことがある方もいらっしゃるかと思います。
翅は貼り付けられてから、上から金銀の透かし彫り金具で押さえて装飾として用いられてますが、当時は斬新なデザインだったはずです。

経糸を深緑、横糸を紫で織れば虫襖(むしあお)色には近くなるそうですが、織物だと、とても本物の美しさには敵わないと思った腕のいい厨子職人が、沢山集めた実物の翅を歯噛みしながら埋め込んだのかなと想像してみたりします。
