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基本情報技術者試験 合格記(1ヶ月)

今年度の資格取得目標の第一弾、「基本情報技術者試験」の試験勉強を2022年5月1日に開始し、5月25日に無事合格することができたので、具体的な勉強方法と所感を綴ります。これから情報処理技術者試験の第一歩を踏み出す方々の参考になれば幸いです。


基本情報処理技術者試験って何?

まずここからですよね。IT分野に馴染みがなく、どこからどこまでが「基本」とされているのか分からない。私もそうでした。

基本情報処理技術者試験(FE)は情報処理技術者試験の区分の一つである国家試験です。

情報処理技術者の登竜門という位置付けです

同じ情報処理技術者試験の中でも、ITパスポート試験情報セキュリティマネジメント試験ITを利活用する者を対象としているのに対し、基本情報処理技術者試験は「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能を持ち、実践的な活用能力を身に付けた者」を認定する国家資格であることから、技術者寄りの試験であることが伺えます。

情報処理技術者試験の難易度は、情報処理推進機構(IPA)によりレベル1~4に分けられており、基本情報は下から二つ目のレベル2に位置します。ただし、同じレベル2の情報セキュリティマネジメント試験と比較すると、基本情報はアルゴリズムやプログラムの理解を避けて通れず、試験難易度はかなり上がります

IT技術者の登竜門とも称されるこの国家資格は、暗記だけで合格するのではなく、しっかりと内容を理解して臨むのが合格への最短ルートです。

試験形式と合格基準

基本情報技術者試験のは午前試験と午後試験から構成されます。
近年ではCBT形式(テストセンター)で受験ができるようになったことから、午前試験と午後試験を別日で受験することが可能になり、受験者の負担軽減に寄与しています。

午前・午後共に150分間の試験で、午前は全80問、午後は長文形式の問題が11問出題され、その内5問(必須2問・選択3問)に回答します。午後試験は得意分野に絞ることである程度の攻略が可能ですが、必須分野のセキュリティとデータ構造及びアルゴリズムは避けて通れないので要注意です。

情報処理技術者試験要項より抜粋「基本情報技術者試験 午後」

午前試験の分野がテクノロジ・マネジメント・ストラテジの大括り3分野であるのに対し、午後試験は午前の3分野をさらに細分化し深堀りした内容を問われます。午後試験攻略の要は、いかに午前試験の知識を理解して午後試験対策の土台にできるかです。

今回の試験結果と受験前提情報

基本情報技術者試験を受けるのはこれが初めてで、参考書などを揃え勉強開始したのが5月1日、午前・午後試験全て受験完了したのは5月25日でした。

試験結果は午前試験78.75点、午後試験67点で、合格(合格基準は午前・午後共に60点以上)でした。
試験の勉強開始〜受験終了までの25日間での対策においては全分野の基礎を網羅しつつも、午後試験の過去問対策不足が仇となり失点を招いてしまいました。
各分野の得点率は以下の通り。午後試験では個人的に注力していたつもりのデータベース分野の失点が目立ち、勉強不足を思い知らされました。

午前試験結果
午後試験結果

4月下旬に資格受験を思い立った時点では基本情報処理技術者試験の試験分野に関する知識は殆どありませんでした。ただし、元々英語を自由に扱えたためIT用語を直感的に理解できたこと、プログラミングに浅く手を出していたためアルゴリズムに対する苦手意識が然程無かった点は受験に有利に働きました。

試験勉強に使用した教材

▼午前試験対策
栢木先生の基本情報技術者教室

参考書:栢木先生の基本情報技術者教室

午前対策の参考書はこちらの一冊で十分です。知識ゼロの状態から各分野の知識を体系的に学び取ることが可能です。

▼午後試験対策
基本情報技術者 午後試験対策書

iTEC 基本情報技術者 午後試験対策書

午後試験は各分野の知識がさらに深掘りされた内容で問われます。本書は具体的な午後問題も交えながら、知識の溝を埋めるのに用いました。

基本情報技術者試験のアルゴリズム問題がちゃんと解ける本

アルゴリズム問題がちゃんと解ける本

午後試験はアルゴリズムの分野が必須問題です。情報処理技術者試験においてアルゴリズム問題は擬似言語という独特のプログラム記述で出題されるため、普段からプログラミングに慣れ親しんでいる場合でも無対策だと躓く可能性があります。主要なアルゴリズムを把握しつつ、本書にもざっと目を通しておくが吉です。

▼午前・午後共通の対策
基本情報技術者過去問道場

基本情報技術者過去問道場

控えめに言って神サイトです。これが無かったらまず合格できなかっただろうなと思います。完全無料な上、アカウント登録をすれば学習履歴や復習機能が利用できますが、メールアドレス等の個人情報も一切不要のユーザーフレンドリーな設計です。
CBT形式に移行する以前の基本情報技術者試験過去問が全て載っており、過去5年分程度の問題を正答率90%以上になるまでやり込めば午前試験の合格は固いです。

合格までの勉強方法と時系列

受験日を予約してから試験勉強を開始した時点では午後受験日まで25日間と非常に短期であったため、最速高効率で学習を進める必要がありました。
私の場合、最初に過去問題に触れてみたものの、知識サッパリの状態では正答率が悪い上に解説が頭に入ってこなかったため、まず基礎知識を読み込んだ上で過去問題に着手するという方法を取りました。

▼5月1日〜11日(勉強時間:17時間程度)
まずは栢木先生の基本情報技術者教室をしっかり読み込んで基礎知識を身につけました。全11章あるので、1日1~2章分(1.5時間程度)読むペースでじっくりと確実な知識の定着を目指しました。
用語の暗記だけに留まらず、各章内でそれぞれの知識が線でつながっていることに着目すると、内容が記憶に根付きやすいです。

▼5月12日〜17日(勉強時間:12時間程度)
基礎知識が身についたところで、午前問題の過去問題演習に着手しました。過去問道場(午前)で過去5年分の午前問題をこなしました。問題に回答すると解説が表示されるので、間違えた場合はすぐに不足知識を補充できます
午前問題1回分は計80問ですが、午前問題は1問単位で完結するため、サクサク進められるものが多いです。間違えた問題は復習機能を利用して確実に正解できるようにしておきましょう

▼5月18日(午前試験当日)
試験対策を始めて3週間弱、午前試験本番です。
この時点では過去問題直近5年分の正答率は模擬試験機能を用いても80~85%程度になっていました。
試験の結果は78.75点。CBT形式なので、試験終了から2時間後くらいにメールでスコアレポートが届きました。
午前試験の所感としては、過去問題から全体の5割程度同じ問題が出題されており、残り5割は見覚えが無いものの、学んだ知識を活用すれば十分対策可能でした。
ただし、私は過去直近5年分の問題しか対策していなかったため、もしかすると、それ以上の過去問対策をすれば類似問題として解ける割合が上がるかもしれません。
時間と相談しつつ戦略を立ててみましょう。

▼5月19日〜24日(勉強時間:17時間程度)
午前試験を終えた翌日から、初めて午後問題対策に着手しました。試験対策をする中で、ネットの情報から「午後問題は午前問題の対策をしっかりしていれば十分」という意見を鵜呑みにしてしまい、正直余裕ぶっこいていたところがあります。
午後問題は確かに午前問題の知識が大前提となっているものの、「午前対策だけでなんとかなる」なんてことは全くなく、午後問題に沿って知識の溝を埋めると共に午後問題の長文形式に十分に慣れておく必要があります。

毎日1章以上読み解くようにしつつ、特にテクノロジ分野の選択問題については最低3分野解けるようにしておくが吉です。当日の試験ではテクノロジ分野の大問全てが選択肢として出題される訳ではないため、ヤマを張った分野が出題されずに詰むなんて事態に陥らないよう気をつけましょう。

併せて、「アルゴリズム問題がちゃんと解ける本」に目を通しておきます。ただ、所感としては疑似言語の対策は「基本情報技術者 午後試験対策書」で十分で、どちらかと言えば過去問道場(午後)にもう少し時間をかければ良かったと後悔が残ります。

▼5月25日(午後試験当日)
午後試験にかけた対策期間は1週間、早くも午後試験本番です。
試験の結果は67点。スコアレポートは午前試験同様に試験終了から2時間後くらいにメールにて通知されました。
午後問題の過去問は過去問道場で2年分だけこなしましたが、これが得点率に大きく影響したように思えます。
午後試験の大問は過去問と全く一緒というケースは少ないものの、ある程度の「型」があり、それに慣れるためには演習した過去問数が大きく影響します。
勿論、基礎知識がしっかり根付いていれば長文を読み解いて解を導き出すことも可能です。私の場合、基礎をしっかり読み込んだのでなんとか戦えた感はありましたが、限られた時間内に高得点を得るには過去問の数をこなした分だけ結果が返ってきます。

合格後所感

今回の基本情報技術者試験は知識ゼロからの約4週間という短期間での合格に向けた攻略であったが、要点と必須分野を抑えた上で最低限の演習量をこなせば十分に合格圏内に至ることができた。

無論、資格試験は技術力・知識量の水準を示す指標に過ぎず、その先の実践を伴うスキルアップやポートフォリオ構築の土台に過ぎない。

ただ、基本情報技術者試験に合格して得たものは多く、
①IT分野における共通言語の理解
②自分の興味・情熱を注ぐべき分野の指針
③自己実現のために押さえておくべきITスキルの分野

と、現在の自分のステータスと、今後目指したい指針をある程度定めるには大きく寄与したと実感できた。
具体的には、今後どの分野に食指を伸ばそうと、ネットワーク技術の理解無くしては躓く可能性が高いと感じ、自分自身の興味分野を伸ばすにはやはりデータベース構築の理解と、それに伴いアルゴリズムに最低限の知見がなければならないと認識することができた。

IT技術者の登竜門とは言い得て妙で、スキルアップの指針を見つけるには勉強する価値大アリの資格でした。

資格取得費用

単純に資格受験と言っても、費用面の問題がつきものです。出来れば安く抑えたい。
私の場合、受験費用含むトータルの費用は合計11,274円でした。内訳は以下の通り。

参考書費用合計: 3,747円
受験料: 7,500円

参考書(3冊)の費用が安いのは、一部をフリマアプリ等を活用して購入しているためです。
本試験は受験人数が比較的多く、同様の参考書を利用している人口が一定数望めるため、フリマアプリでの購入を活用することで大幅な節約が可能です。

注意すべきは、IT技術に関する資格であるが故に、あまり古い年度の書籍を購入すると、内容が陳腐化している可能性があることです。
なるべく最新の書籍を狙いましょう。

会社の制度活用

所属会社に社員のスキルアップ奨励を目的とした資格の取得奨励金制度がある場合は、必ず活用するようにしましょう。
資格取得にかける費用をカバーでき、場合によっては合格に報いる奨励金で黒字を期待できます

下位試験もついでに受験してみた


基本情報技術者試験に合格できたので、下位資格にあたるITパスポート試験とを情報セキュリティマネジメント試験を受験してみました。

どちらも基本情報技術者試験の知識を踏まえた受験なので、参考書などは用いず臨みましたが、それぞれ約1〜2週間程度の過去問演習のみで合格に至りました。

基本情報技術者試験に合格していれば、敢えて受験する必要性はそこまで無いかもしれませんが、良い復習になるので、やって損はありません。
私の場合は、会社の資格取得奨励金目当てもあり、受験することにしました。
結果は以下の通り、過去問演習のみで無事合格することができました

ITパスポート試験結果
情報セキュリティマネジメント試験 午前結果
情報セキュリティマネジメント試験 午後結果


実は、ITパスポート試験も情報セキュリティマネジメント試験も、基本情報技術者試験同様に過去問サイトがあります。

ITパスポート過去問道場
情報セキュリティマネジメント過去問道場

どちらも基本情報同様に完全無料の神サイトです。必ず活用するようにしましょう。

私の場合は、ITパスポート試験・情報セキュリティマネジメント試験共に過去問3年分を1周し、不正解の問題を復習した上で本試験に臨みました。

基本情報技術者試験の知識と経験がある前提なのは言わずもがなですが、必要な知識量はその周辺にあると言えるでしょう。

基本情報技術者試験が大改訂されるらしい

基本情報技術者試験が2023年4月以降開催分より大きく変化するそうです。
午前試験の問題数が減り、午後試験は長文大問から小問のみ・全て必須問題化ということで「大幅に易化する」という意見もあれば、「捨て分野がないから難化だ」という意見もあるようです。

いずれにせよ、本試験は最終ゴールではなく、知識習得のツールに過ぎません。難易度は気にせず、知識習得を楽しむが吉です。

今後のロードマップ

基本情報技術者試験に合格できたならば、その上の応用情報技術者試験、そして更にその上位にある高度情報技術者試験を目指していくのがセオリーです。

ただ、今回の試験を通じて実感したのは、自分が目指すコア分野を盤石にするためにはその周辺分野をしっかりと固める必要があるということで、今後は関連するベンダー試験などにもチャレンジしていく必要がありそうです。


学びに終わりはありません。必要なのは意欲と熱意だけ。本記事がIT分野はじめましての皆さんが次のステップを踏み出すための参考になれば幸いです。

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