海に浮かぶ重伝建 「伊根浦舟屋群」
比呂池が撮影した重伝建シリーズ
2024年7月15日
7月上旬、京都府伊根町「伊根浦舟屋群」を撮影してきました。
舟屋だけでなく町並み・周囲の山・伊根浦を含めて、平成17年(2005年)重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
夏休みに入ると混雑しがちとのことで、梅雨時期でしたが3日間滞在しました。
普段から行いの良い比呂池ですが、3日間ともほぼ雨降りで、雨が弱くなる時を見計らい撮影しました。
「伊根浦」は若狭湾西部にあります。
若狭湾は、越前岬と経ヶ岬を結んだリアス式海岸の湾で、比呂池にとっては福井県のイメージが強いのですが、湾の西側は京都府です。
若狭湾全体は 北方向を向いていますが、リアス式海岸なので、海沿いの道を走っていると必ずしも海側が北とはかぎりません。
その上、伊根浦は南方向に開けた湾なので、山国育ち(飛騨高山は道路が東西南北方向に碁盤の目なので)の比呂池は完全に方向音痴になってしまいました。
「舟屋」は、1階:舟小屋 2階:作業場や居室 となっており、道路を挟んだ山側には「主屋」があります。
伊根浦の南東側の町並みは、昭和初期までは「主屋」と「舟屋」は隣接しており、それらの間に広い道路はありませんでした。
万一の時に緊急車両が入れないとして、約10年を費やし「舟屋」を海側に移築し「府道622号伊根港線」が敷設されました。
2日目の早朝、舟屋の里公園に車を停め、「府道622号伊根港線」をカンジャガハナ灯台まで、徒歩で片道約2kmを往復しました。
歩くには十分な道幅ですが、車だと対向車とすれ違う場所を探すのが一苦労。
灯台付近に数台の駐車場がありUターンできそうでしたが、休日等に地域を知らない車が集中すると二進も三進も(にっちもさっちも)いかない状況になりそうです。
港に帰る漁船は、ものすごい数の海鳥を引き連れています。
もし、「府道622号伊根港線」の敷設時期がもう少し遅ければ、モータリゼーションの発達により「舟屋」の多くが「車庫」に変わり、「舟屋群」の景観が無くなっていたかもしれません。
タイトルを「舟屋群」としたのは、海岸沿いに連続して舟屋が建ち並ぶ様子はあまりに壮観で、この景観が維持されてきたことに感動すら覚えたからです。
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