引退したら世界パンデミックだった話-2020まとめ-
東日本大震災から来年でちょうど10年。「東北に世界全てのエネルギーを集約させ、世界一の都市を作る」という世界をめぐる旅から帰還した私を待ち構えていたのは、オリンピック祭ではなく先に例のない破滅的な世界パンデミックだった―
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こんにちは、現在コロナでのオンライン革命を研究中のh.h.です。
話題豊富を通り越して、狂気的なまでに話題しかなかった2020。そんな2020も明日で終わりという事で、最後に私のコロナな一年間を自分のために纏めていこうと思います。お疲れ様、2020!
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初出社ロックダウン2020
「祭りだ、祭りだ」
そんな掛け声が聞こえる。そう、来年は待ちに待った祭典―東京五輪2020の年だ。私は長い長い旅から帰る飛行機の中で、野老朝雄氏の五輪エンブレムが入ったキーホルダーが揺れるのを眺めながら考えていた。
東日本大震災から8年―東北のみんな、そして日本の全ての人々と一致団結し、新しい都市―そう、コミュニティの代弁者でもある”スマートシティ”の実現の為に日本と海外を奔走したこの約10年間が終わろうとしていた。
世界の学会の教授陣、あの日出逢った東北のみんな。心で繋がった様々な人々の顔が走馬灯のように浮かんでは消える中、私は最前線を退きオリンピックという一つのゴールを迎える為に帰路に着いていた。
2020年は、政府が定める様々な政策の謂わばゴールの年だった。東北復興100%確定の年であり、スマートシティによって「新しい東京」が実現される約束の年。AKIRAの予言の件もあり、私にとって今回のオリンピックはどこか神聖なイメージを持って東京の都市そのものに織り込まれていた。
しかし運命の2020年。引退後モードで研究一色に染まり遊びほおけていた私は、本当の2020年を目撃する事となる。そう、誰のスケジュールにも記されていなかった、コロナウイルスのパンデミックだ。
4月、新しい日本を堪能していた私の日本での記念すべき初出社(仮)の日。丁度その日に東京都全体に緊急事態宣言が発令され、遊び人と化し荒ぶっていた私の休暇はその日をもって終了した。
驚くほどのオンライン改革
実は、懐かしいSARS(サーズ)の記憶もあり今回のCOVID-19がここまで長続きする事を先週まで筆者は信じていなかった。かなり信じないタイプである。2003年のSARSのときは4月に特定→7月に終息宣言と、今回と同程度にWHOとメディアが大騒ぎしていた割に3ヶ月程度で収まった。
そんな中、コロナウイルスはまたたく間に広がり世界中の人間が外出を自粛・マスク着用するという非常事態に発展した。しかしそれと同時に、日本の教育界そしてスマートシティ界では驚くほどの奇跡が起こり始めたのである。
①教育関係者が敗北した最後のセンター3ヶ月後に教育のオンライン・ICT化が一気に進んでしまう
2020年はセンター試験が改革出来なかった敗北の年でもあった。筆者の実家は大学受験塾のため、震災以降8年かかっても達成出来なかった教育改革の挫折も含め、大学入試やセンター改革を目指していた教育関係者の諦めを感じさせるムードを見守っていた。
しかし、今年の緊急事態宣言しかりコロナの一連のクライシスを受け「教育の一番大事な部分を要約する」ことを軸に教育そのものが各教員の頭の中で再構成された。更に、ICT教育が一気にほぼ全ての生徒にもたらされ、先生たちがYoutuberの如き動画での発信スキルを身に着け、トドメは秋入学の話まで進行し始めた事だ。それらは全て、私達が今年のセンター試験の終了時点で(ほぼ)完全に諦めた又はゆっくりと事を進める他無かった事柄だったからだ。
世界の学生・教員が会えない中で教育をする・受けるという大変な苦難にある中で、私達はそうして教育とは何かを再確認した。
②スマートシティ×5Gと言ってたのに、いきなりその分野が5Gを超えて数ヶ月で10年分の進化を遂げてしまう
5Gでスマートシティ業界は湧いていた。何故なら、高速かつ大容量の5Gによって新しいモビリティ×スマートシティの構築が可能だったからだ。しかし5G本格導入を宣伝していた直前の3月頃からコロナが流行し出し、気付けばそれをきっかけとしてリモートワークを始めとしてその関連業界が数ヶ月で10年分の進化を遂げてしまった。コロナでオンライン開催となったCEATEC2020でも参加者が口を揃えて「大変な事となった」とこの出来事を話したが、誰もが心から期待していた華々しい5G時代の幕開けの代わりにさらなる進化を目撃する事となった。
③(筆者視点)スマートシティの構築において誰もが諦めていた個人の住宅・部屋そのもののICT化がインテリアデザインレベルで始まってしまう。筆者は都心のスマートシティ化を見守って来たが、この10年のイノベーションの最後に一つだけどうしても出来ずに諦めていた事があった。それは、個人の住宅・部屋レベルでのICT化が全く進まないという事だった。それはスマートデバイス業界に携わる誰もが悩み諦め、根本的な改革は難しいがゆえにスマートデバイスを「すべり込ませる」という形でのICT化に流れていた案件だった。私の最後の想いも、「それが出来たらな....」だったが、ついに引退宣言をしてしまった(敗北)。
それがこの年一気にリモートワークやZOOMの波に乗って改革されたのだ。「あ、解決した。」私はそう呟いた。
沢山の方々がコロナで大変な苦難を受ける中、そんな不思議な事も起きていた。なんとも不思議な世界になってきたな、と感じている。
そんな中やっぱり引退出来なくなった。
やっぱり、世界が変動しすぎて引退は無くなってしまった。というか、自己中かも知れないが、担ぎ出されてしまった。コロナとICT教育の研究が待っている。世界中のイベントがオンラインになる中、連動して日本ではデジタル庁が日本全国のアナログをデジタルに移行するという。そして同時にスマート東京が首都東京そのものをデジタル化するのだ。世界そのものが、デジタルの中に吸い込まれていく中それを見過ごす事は出来ないと感じた。
オリンピックはAKIRAの予言とは裏腹に2021年に引っ越ししてしまったが、「何か」が今年から始まっている。日本で、そして世界で。筆者は、10年間の旅を終えそしてまた新しい教育とスマートシティのイノベーションの波と共に終わらぬ未来の旅へ歩き出そうと思う。
そして、ハッピーニューイヤー、2021。