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創業5年経って思うこと

はじめに

2023年9月1日をもちまして、法律事務所を開業して5周年を迎えました。

開業した2018年当時は、「組織を作って成長させたい」という一心でした。何か具体的なプランがあったわけではありません。1,000万円の借入をし、オフィスを借り、正社員を雇用したにも関わらず、既存顧客はゼロ、開業から2週間程度は1件の依頼もありませんでした。

あれから5年が経過し、所属している所員は50名以上、拠点数も二桁を数えるに至っており、毎年1万人以上の方から法律相談の問合せをいただき、毎年数百人の方々からに入所応募をいただける事務所になりました。


詳細は省きますが、この5年間、いろんなことがありました。
これまでの自分の人生で一番濃度の高い5年間だったと感じています。

いわゆる「波瀾万丈」や「ハードシングス」を経験し尽くしたかと言うとそうではありませんが、ここに来るまでにそれなりにリスクを背負った戦いを強いられた場面も何度かありました。眠れない夜を過ごしたことも一度や二度ではありません。

それらを乗り越え、需要(人口)は増えず供給側(弁護士数)だけが増え続ける「斜陽」と呼ばれる産業の中で、お客を集め、人を採用し、一貫して黒字で決算を通過し、成長も実現させたことは、何者でもなかった自分にちょっとした自信のようなものをもたらしました。

この5年間で学んだこと

この5年間では、数多くのことを学びました。
どれも起業に関する書籍に書いていることばかりですが、読んで知るということと、自ら経験するということはまったく別物だと知りました。

①失敗は成功の母

この5年間で、たくさん失敗をしてきました。今の事務所は、星の数ほどの打ち手を打ってその一部が上手くいって組成されているものに過ぎません。一度失敗してみないとわからないことはたくさんありますし、失敗を経験すると嗅覚のようなものが身に付いていき、同じ類の失敗はしなくなっていきます。
失敗することは尊く、失敗は成功の母です。

②やりたいことが明確になった

当初は生活資金を稼ぐこと、従業員の給料を払うことに必死でしたが、それが落ち着いてくると「さて、自分はこの会社という器を使って何がしたいんだっけ?」ということを考えるようになりました。そこで、”Update Japan”の意味を再考し、”For Client”という価値観を持って弁護士実務に取り組む集団を作ることにしました。また、自分が海外とAIに強い興味・関心を抱いていることに気づき、これらを業務に自社のポートフォリオに組み入れたいと考えるようになりました。

③人がすべて

TSLの成長は、自分一人の力で実現できたものではありません。
これまで関わってくれた人たちのおかげで今の事務所があり、これから関わってくれる人たちのおかげで未来の事務所が形作られていきます。
一緒に会社を成長させていく意欲を持った仲間がいるというのは、この上ない幸せであり、とても心強いものです。

向こう5年間でやりたいこと

5年かけてここまで来ましたが、まったく満足していません。
やりたいこと、やらなければならないことがたくさん出てきています。
向こう5年間で実現したいことを挙げていきます。

①徹底した業務効率化の実現

業務効率化は絶対的な正義だと確信しています。
業務効率化は、対クライアントにおいてはサービスレベルの向上をもたらし、働く人たちにとっては給与・報酬を押し上げます。
経営者の責務として全力で取り組まなければならないと感じています。

②「For Client」の業界への浸透

自分の事務所だけでなく、あらゆる弁護士が「For Client」の価値観を持って仕事をしてほしいと思うようになりました。
弁護士はクライアントのために存在している。この当たり前の事実を胸に刻んで日々の業務に取り組む。そんな業界にしたいなと思います。

③日本の中小企業を海外へ

人口が減っていく上に価格抑制機能が強い日本では、今後国内だけでビジネスをやっていても圧倒的な成長は難しいかもしれません。成長余地が大きい中小企業こそ海外というフロンティアを目指すべきです。また単純に、海外進出と聞くと胸が躍る。
ということで、海外の法律事務所や会計事務所とアライアンスを組んで、日本の中小企業の海外進出を後押しするような仕事をしたいです。

④外国企業を日本へ

外国企業が日本に進出してくる際のサポートもやりたいです。
日本のリーガルフィーは他の先進国に比べて低い傾向にあり、特に利益率のそれほど高くない日本の中小企業からはあまり費用をいただくことができません。
法律事務所として外需の取り込みを積極的に行わなければ、我々の圧倒的な成長は実現できません。

⑤AI開発

「For Client」を標榜する以上、弁護士はクライアント対応に時間を使わなければなりません。ただ、弁護士はリサーチや書面作成で忙しい。そこで、弁護士が抱える事務作業をAIが担うことができるようにしたいです。
生成系AIをはじめとした既存の技術や今後生まれるであろう新技術と、法律事務所が持つデータを組み合わせれば十分実現可能だと考えています。
今後5年間、法律事務所で得た利益の一部を開発への投資に回していきます。

まとめ

法律事務所の経営に関しては、自分個人としてだいぶ慣れてきた感があります(油断は禁物ですが)。
また、メンバーの成長も著しく、組織は着実に強くなっていっています。

経営基盤が整ってきたからこそできることがあります。
自分が一番能力を発揮できるのは、新規事業の構築やマーケティングであると確信していて、今後はそちらの比重を増やしていく予定です。

今後の5年間に思いを馳せて、とてもワクワクしています。

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