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Travel 03. 香港から成都を経てチベットへ

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Travelife Log 2012-2013|妻と合流して、世界旅行が本格的にはじまった。チベットへ向かう列車のなかで、『ダライ・ラマ自伝』を7年ぶりに読み返した。本で読んだ場…
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#チベット

香港から成都を経てチベットへ 〜旅のまとめ〜 【世界旅行記037】

2012年9月10日(月)  妻と合流して、世界旅行が本格的にはじまった。香港に滞在したあと、チベット旅行の拠点となっている成都へと飛んだ。成都では、世界中からバックパッカーが集まる有名なゲストハウスに泊まり、あまりの居心地のよさに、なかば沈没状態となり果てた。宿からほとんど出ない日が続いた。 やがて待ちに待ったチベットの入境許可証(パーミット)が取れ、日本人旅行者4名とともに、7日間のネパール越えツアーを組んだ。様々な事情で外国人のチベット入りが困難になっているなか、パ

チベット記(6) チベットの人びと 【世界旅行記036】

2012年9月8日(土) チベット ティンリ → ダム(車) チベットの記録、最後はチベットの人びとの写真で締めくくる。こんなに穏やかで信心深い人たちが、デモを起こすなどとはにわかに信じがたい。一見、平和な街に見えるが、彼らに言論の自由はない。 ラサの市場を歩いていて、高い建物の屋上から監視する中国軍隊の姿に気づいたとき、背筋が凍る思いがした。街の至るところに、漢字で書かれた巨大なスローガン(横断幕)が垂れ下がっている。ポタラ宮の前を「各民族大団結万歳!」と掲げた街宣車が

チベット記(5) 高度・不順応 【世界旅行記035】

2012年9月7日(金) チベット シガツェ → ティンリ(車) 成都から参加した今回のツアーは、チベットからネパールへ抜ける7日間のツアーとなっている。ラサを観光したあと、ギャンツェ、シガツェ、ティンリーを通って、最終的にネパールとの国境・ダムまで車で連れて行ってもらう。本来はエベレストベースキャンプ(EBC)まで行き、間近にエベレストを眺める予定だったが、最近、EBCで外国人がチベットの旗を立てたとかなんとかで、観光客は行くことができなくなってしまった。 チベットとネ

チベット記(4) シガツェの朝、光射すタシルンポ 【世界旅行記034】

2012年9月6日(木) チベット ラサ → シガツェ(車) チベット第二の都市、シガツェまでやってきた。ラサから西へ約230キロ、一見舗装されているが実は凹凸だらけの道を車で駆け抜け、ほぼ1日かけてたどり着いた。途中、ギャンツェに立ち寄ったが、高山病による頭痛がひどく、あまり記憶に残っていない。 ラサと同じように、シガツェの街は、中国人エリアとチベット人エリアが明確に分かれている。ラサよりむしろ、両者の差は深いように感じられた。チベット人エリアは、とても第二の都市とは思

チベット記(3) 主なきポタラに棲む僧侶たち 【世界旅行記033】

2012年9月5日(水) チベット ラサ いよいよポタラ宮に入るときがやってきた。あのポタラ宮の前にいま自分はいて、これからそのなかに入るのだと思うと、なんとも感慨深い。いまから7年前、わたしをチベットに結びつけた、ある出来事を思い起こす。 当時、学生だったわたしは新宿の本屋でアルバイトをしていた。そこに、1人の中年男性客がやってきた。ダライ・ラマの『Freedom in Exile』を探しているという。在庫を探しているあいだ、彼はしゃべり続けた。中国がいかにチベットで大

チベット記(2) セラ・ゴンパの問答修行 【世界旅行記032】

2012年9月4日(火) チベット ラサ ノルブリンカのあとは、セラ・ゴンパを訪れた。ゴンパは「僧院」を意味するので、日本語ではセラ僧院やセラ寺などと表記される。チベット仏教ゲルク派の大僧院で、最盛期には5,500人もの僧侶がこの地で学んでいたという。 セラ・ゴンパでわたしたち夫婦が楽しみにしていたのは、なんといっても中庭で行われる問答修行である。これがどんなものかは、わたしが拙い表現で記すよりも、ダライ・ラマ自身による説明と実際の写真で理解してもらうのがいちばんよいだろ

チベット記(1) 夏の離宮に思いを馳せて 【世界旅行記031】

2012年9月1日(土)〜3日(月) 中国 成都 → チベット ラサ(青蔵鉄道) ラサ最初の観光地は、ノルブリンカである。もっとも有名なポタラ宮は完全予約制で、翌日の入場しかできない(入場時間まで指定される)。そこで、まずポタラ宮のチケットオフィスで翌日の予約票を入手し、それから西へ少し離れたノルブリンカへと向かった。 ノルブリンカは、ダライ・ラマの夏の離宮である。寒い時期はポタラ宮で過ごし、暑くなるとノルブリンカで過ごす、これが7世以降の歴代ダライ・ラマの習慣になってい