日本人はなぜ、過度に料理のレシピ本を追い求めるのか?

僕が日本全国旅をする中で必ず訪れるのが、旅先の本屋さんです。

全国各地の大小様々な書店に足を運ぶことが、もはや趣味の一つとなっています。

そうやって各地の書店を定点観測していると、ここ数年の大きな変化というのは、料理のレシピ本コーナーが、ドンドンと拡大していることなんですよね。

棚の数もそうですし、場所も本屋の一等地の場所に移り変わっているように思います。

東京に住んでいる方にはあまり想像がつかないかもしれないですが、東京ではだいたいの書店が、ビジネス本などを並べている一番のメインのコーナーが、ローカルに行けば行くほど料理と健康などのジャンルに置き変わっているんです。

我が地元、北海道の函館市にある日本最大級の「蔦屋書店」もそれは例外ではなく、料理や健康、あとは旅行のコーナーが、ここ数年のあいだに一気に増えていて、その分、歴史や思想のコーナーが端っこのほうに追いやられてしまいました。

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じゃあ、なぜそうなってきているのか。

最近までは、コロナ禍で外に出かけられなくなったことや、節約志向や健康志向などが、それっぽい理由として語られていたように思います。

でも、だとすれば、これは先進国を中心に世界的な傾向なのかなあとモヤモヤと考えているときに「海外にはレシピ本が少ない」という話を聞いて、結構ビックリしました。

ということは、何か日本特有の問題があるということなのだと思います。

じゃあ、それは一体何なのか?

ここで問題となるのは、日本人はそんなにも本当に「食」へのバリエーションを求めているのか?グルメであるということなのか?ということです。

僕は、決してそうじゃないと思います。

日本のレシピ本コーナーは「料理」そのものというよりも、「家族間のコミュニケーションを復活させたい」という嘆きのようなものであって、その解決策を追い求めた結果としての「レシピ」なんじゃなかろうかと。

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