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カノンとレオン5(3分間小説)

【カノンとレオンの第5弾です】
ショートショートで投稿したカノンとレオンの第5弾を書いてみました。今回は、写真を使っています。ただし、あくまでイメージです。レオンの犬種やカノンのイメージはみなさんの頭の中にあるもので膨らませていってください。
よろしければ最初からお読みいただけると嬉しいです。1〜4へのリンクは本編の下に貼ってあります。
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【本編】
「ナマステ~」

もうすぐ桜が咲こうとしている3月の後半のこと。
カノンは先週からヨガを始めた。始めたと言うより、再開した。最初はコロナの時に家で仕事をしている頃だった。外にも出にくかったから家でできるって言うので、ヨガを始めたのだった。

コロナが明けて、会社に行くようになったらすっかりしなくなってしまった。僕は散歩は好きだけど、ヨガはあまり好きじゃないからホッとしていた。

ところが。
この間カノンが熱を出してユウヤさんが助けに来てくれた時に、保険証を探していたユウヤさんの目に止まったのがカノンのヨガマットだった。カノンの熱がおさまってヒマワリちゃんと4人で食事をしている時に、ユウヤさんが言った。

「カノンさんはヨガをやるんですか? あ、すみません!見る気はなかったんですけどさっき目に入っちゃって…」
カノンは全く気にする素振りも見せずに言った。
「そうなんですよ~ コロナの時にリモートになったじゃないですか。あの頃から、時間の隙間見つけてやるようになって、それからですね~」

僕は、思わずカノンの方を見た。カノンはニコニコして話しているけど、この1年くらいヨガマットなんて使ってないじゃないか。それからしばらくはユウヤさんとヨガの話で盛り上がっていた。ユウヤさんもちょっと興味があるらしい。2人の話を聞いていると、まるでカノンの趣味がヨガみたいに聞こえた。

ユウヤさんとヒマワリちゃんが帰った後、カノンが僕に言った。
「レオン、今日からヨガ始めるわよ」

え?

カノンは着替えて、ヨガマットを敷いて、以前見ていたYouTubeのヨガチャンネルをつけた。久しぶりだ。

「レオン、こっち来て」
やっぱり僕もやるんだ…
さっき好きじゃないと言ったけど、正直言うと僕は体が硬いから、ヨガが苦手だ。足取り重くカノンのところに向かうと、カノンが手のひらをヒラヒラさせて僕を呼ぶ。
「早く!始まっちゃうでしょ」
YouTubeのインストラクターがあぐらのポーズを取っていた。僕は目が悪いからカノンの前に座ってポーズを真似た。

 

「ちょっとレオン、前にいないで!横に行って」
手でどかされた。仕方ないのでカノンの横でポーズをとった。

 

しばらくインストラクターと同じように頑張ったけど、そんなに上手くできないし、だんだん飽きてきた。

そろそろ最後の方だろうか、チャイルドポーズになった。
僕にはこんな姿勢無理だからカノンに乗った。 

 

「ねえねえ、ちょっと!乗らないでくれる?降りて!」
カノンがチャイルドポーズのまま言った。仕方ないから、飛び降りた。疲れたから伏せていた。そうしたらチャイルドポーズの後、カノンが僕と同じようなポーズになった。僕は伏せているだけだから、ちょっと違うか。

 

30分くらいやっただろうか、ようやくYouTubeが終わった。
カノンは額に汗をかきながら僕に言った。
「レオン、付き合ってくれてありがとね。ご褒美に高い高いしてあげる」
言うや否や、僕を足の上に乗せて急に持ち上げた。

 

ひゃー!しがみついたけど、勢いで後ろ足が落ちてしまった。
こわいじゃないか!
カノンが足を揺らすから僕は落ちないようにしがみついていた。
しばらくやってカノンも疲れたみたいで、ようやく僕を下ろしてくれて言った。
「ちょっと休みましょ。レオンも休んで」と言うので、待ってましたと
「ワン!」って返事をした。

休むのは大歓迎だし、カノンと一緒にこうしていられる時間が僕は1番好きだ。

 

僕たちはその後、日が暮れるまで寝てしまった。


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