SNSの仕掛けにハマる
Facebook、Instagram、TwitterなどのSNS。流行り廃りや、向き不向き、慣れや飽きなど、いろいろあるが、一度はハマった経験がある方やずっとハマってる方も多いはず。各サービスを併用したり、点々とサービスを変えて使って、何かしらのSNSは続けている方も多い。
それぞれのサービスはコンセプトやユーザ層、使われ方や楽しみ方は異なっているが、どれも行動心理学にもとづいて、いかに長い時間、繰り返し使ってもらえるかを徹底的に研究されてる。長い時間、繰り返し使いたくなるようにサービス設計されていて、ハマってしまうのはある意味当たり前。ハマってしまうように作られている。
ハマること自体が悪いことではない。でも、どういう理由でハマってしまうのか知った上で、うまく付き合うのがいいと思う。だから、ハマる理由を考察し、自分自身へのインプットをのため書いておく。
なお、この内容はTwitterに自分自身がハマりだし、ちょうど色々考えていた時に、NewsPicksで『SNSを科学する』という記事が連載されていたため、その記事を参照させていただいた。
【参照】NewsPicks『SNSを科学する』(5/1-2連載)
Facebook、Instgram、Twitterの違い
SNSにハマる理由を考える前に、メジャーなSNSを比較して、その特徴を理解する。そして、ハマる理由の考察の参考にする。
Facebookは中高年男性中心になってきていて、最近、若者には余り使われていないらしい。ユーザ数も減少傾向。実名がベースで安心できて、良く知る人間関係におけるコミュニケーションツールとして重宝したが、投稿ネタも尽きてきたり、実名、知った者どうしのコミュニケーションが故の飽きや刺激がなくなってきた部分もあるかもしれない。
Instgramは若い方を中心に幅広い層に人気がある。写真だけで楽しめたり、興味や関心ある分野の情報がシンプルに収集出来て、流行や趣味嗜好の世界での情報収集に効果が高い。ストーリーなどを使ったコミュニケーションも若い方を中心に盛り上がってる。
Twitterはそれらと比べて独特だ。まさに「つぶやく」サービスで、自由度も高く、使い方はそれぞれ様々。同じ考えや思考の方のつぶやきで気づきを得たり、コミュニティのように仲間を増やして、単純な挨拶からその日感じたことなど共感しあう。有名人のTweetを見て、その方々の思考やアイデアを楽しんだりする。拡散しやすい特徴もあるが、炎上しやすいのも特徴。
それぞれのSNSを私自身も使っているが、Facebookに始まり、Instgramを併用し、でもInstgramはそれほど盛り上がらないまま、今はTwitterにハマってる。知らない方とのコミュニケーションなんて考えられなかったが、同じ考え方や思考の方のTweetシャワーを毎日浴びると前向きになれ、自分自身もアウトプットの練習がてらTweetするようになった。
いいねをするのも、フォローするのもおっかなびっくり始めたが、今やすっかりハマってしまい、時間の使い型を決めて、気持ちはハマっても時間まで持ってかれ過ぎないように注意してる。
Facebookにハマってるとはあまり聞かないが、InstagramやTwitterはハマってる方も多いのでは。私は最近、Twitterにハマってる。このハマる理由はなんなのか。共感や気づきの連鎖、人と人とがつながる面白さ。こんなことを思っていたが、そこにはたくさん仕掛けがあった。
SNSにハマるわけ
SNSにハマる理由は何なのか。
人がハマるには理由がある。SNSの仕掛けの前にハマる理由を理解する。
ハマるわけ①「無限ループ」
何かしらの引き金により、SNSでの行動を促し、その行動に伴い報酬を得る経験をすることで、その報酬が引き金となり、また行動したくなる。このサイクルにより行動が習慣化し、無限ループが動き出す。
ハマるわけ②「自制が妨げられる」
SNSでの行動により、多幸感、快感、高揚感などを感じられる。また、行動により報酬が得られたり、得られなかったりするため、その行動が強化される。人は、断続的で予想不可能な報酬が一番中毒性があると言うのはよく知られている。スロットマシーンなどのギャンブルもその例です。SNSがさまざまな感覚への期待と興奮を与え、自制を妨げる。これがハマる原因となる。
ハマる仕掛け
ハマるわけを理解した上で、人がハマるための仕掛けを整理する。スマホ社会にすべて根付いた様々な仕掛けが、知らず知らずにハマるをつくる。
仕掛け①「引き金を用意する」
行動を習慣化させ、無限ループ化するためには、そのきっかけとなる分かりやすい引き金が必要となる。その引き金の代表格は今や当たり前のようになっている「通知音」やアプリに付加される赤い「通知マーク」。
これらが見聞きするたびに、自分に重要なことがあるかもしれない、関心が高いことや面白いことに出会えるかもと気になり、ついつい行動してしまう。
引き金の事例:通知音、赤い通知マーク
仕掛け②「行動のハードルを下げる」
習慣化するためには、できる限りシンプルで、簡単にその行動ができるような環境づくりが重要。立ち上げたら即使えるUIや動画コンテンツの自動再生、気軽に押せるボタン配置などもそれにあたる。
仕掛け③「欲求に訴える報酬を準備する」
SNSの行動で快感を感じ、脳が報酬を受け取ったと認識すると、もう一度その行動をしたいというインセンティブが生じ、習慣化を促進する。承認欲求や成長意欲、達成感などを報酬として感じることで、快感や高揚感、満足感を得ることができる。
また、ユーザのスキルや努力に応じて、チャレンジの難易度を徐々に上昇させていくことで、フロー状態を作り出す。フロー状態とは集中してのめり込んでいるような状況。自分のスキルと行動の難易度のバランスが上手く取れていると、人は没頭できる。行動の結果を問わず、時間を忘れて夢中になった体験自体にも喜びを覚える。
仕掛け④「迅速な報酬と不確実性」
即座にフィードバックがある方が報酬との結びつきが強まり、報酬有無が不確実なほうがハマりやすい。勝つとわかっているゲームは飽きてしまうけど、勝ったり負けたりするのが面白い。また、結果がすぐにでることもハマる要素をひとつとなる。
ハマるデザイン、サービス設計
ハマるわけど仕掛けを理解したところで、SNSはどのようにサービス設計されているのかを考える。SNSはユーザが何度もアプリを開いてしまうように設計されている。サービサーが重視している指標は「プラットフォームの滞在時間」。そのため、何度もアプリを開いてしまうきっかけづくりや、開いた後も長い時間滞在したくなるようなでデザインを用いている。
ハマるデザイン①:赤い通知バッジ
自然と目につく。
通知の数だけでは内容がわからないので確認したい欲求が生まれる。うれしい内容、どうでもいい内容が混ざっているため、通知を確認する行動がより強化される。また、通知を消し終わると、タスクを完了させた満足感が生まれる。
ハマるデザイン②:無限スクロール
簡単操作のスクロール。
次のコンテンツを読むための摩擦が最小限になるよう画面やUIをデザインしている。次こそは自分の興味や関心にあったコンテンツが見られるのではとスクロールしてしまったり、やめようと思ったタイミングでも、ちらっと次のコンテンツが見えてしまって、見ることを継続してしまう。
ハマるデザイン③:引っ張ってページ更新
スロットマシンを引く動作に近い、直感的で自然なジェスチャー。
次こそ面白いコンテンツが出てくるのではと期待感で更新してしまい、少し待つ間のドキドキ感も合わさり、ついつい更新してしまう。
ハマるデザイン④:スワイプして移動
直感的なジェスチャーで、不便なく次のコンテンツへ移動。
視聴するほど好みを学習した興味がありそうなコンテンツが表示されるため、あと1つだけ見てみようなどと自分に言い訳をしてついついスワイプしてしまう。
ハマるデザイン⑤:いいねボタン
ワンクリックで簡単にリアクション。
もらっ人はは他者から認められたい、他者より優れたい、人とつながっていたいなどの欲求が満たされ、また、返報性により、自分も誰かのお返ししたくなる。また、投稿によって、もらえたり、もらえなかったりする不確実性も投稿する行動を強化する。
ハマるデザイン⑥:連続記録 (noteなど)
連続投稿など記録して表示。
記録を伸ばしたいという思いが生まれる。
ハマるにつながる行動を起こさせる3要素
ハマるわけやサービス設計を理解したが、その行動を起こさせる要素を改めて確認する。ハマるにつながる行動を起こさせるには3つの要素があると言われる。フォッグの行動モデルをもとにハマる要素を整理する。
<フォッグの行動モデル>
①Motivation 動機
②Ability 遂行能力
③Prompt きっかけ
行動を起こさせるためには、
①動機づけをして、
②行動に移すハードルを下げ、
③行動のきっかけを与える
ことがポイントとなる。
行動モデル①Motivation:その行動をやりたいという欲求
動機を高めるため、根源的な3つの分類に訴える。
①感覚
喜びを感じたい、痛みを避けたい
②期待
希望を感じたい、恐怖を避けたい
③集団への所属意識
受け入れられたい、拒否されたくない
行動モデル②Ability:その行動を実際に行う能力
実行能力を高めるに、行動にうつすハードルをできる限り下げる。
①時間
かかる時間を短縮する
②お金
かかるお金を減らす
③物理的な努力
身体的な負担を減らす
④精神的な努力
認知にかかる負荷を減らす
常識、規範に逆らわない
⑤精神的な努力
すでに身についている習慣に取り込む
行動モデル③Prompt:その行動をとる引き金
動機と実行能力の高さに合わせて、適切なタイミングできっかけを与える
①根源的欲求に訴える刺激(希望や煽る動画、テキストなど)
②やり方に関する、丁寧な説明
③行動の必要を思い出させるサイン
SNSサービスの本質
SNSサービスは新しい行動を一回試してもらうところから始まり、慣れ親しんでもらった、長く使い続けてもらうことが重要。
そのためには、動機が高まっているタイミングでいかに引き金をひかせるか、また、ハマるデザインを巧みに仕掛け、長く使ってもらえるかがサービスの成否を決める。
現代のオンラインとリアルが融合する社会においてもやはり変わらぬ人の本質。他人と繋がりたい、やりとりしたいというだけでなく、認められたい、競いたい、自分が優位でありたいなど、本質的な欲求を求めています。これらの人の本質的な欲求がSNSの利用の目的やハマるきっかけに繋がります。
SNSサービスの本質やハマる仕掛けを理解した上で、うまくサービスを使い、楽しみ、活かしたい。
また、ハマる理由を理解することは、SNS以外のサービスや事業を考える上でも参考になる。この考察を通じて、またさらなる深掘りや応用により、今後の活動にも活かしたい。
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