旅の必須アイテム! (ただし25年前の...)
1998年のある日、会社を辞めた私は、成田からロンドンに向けて旅立った。バックパックと3ヶ月後の帰国便の航空チケットを握りしめて...。
こう書くと、社会に馴染めない人間が自分探しの旅に出たようであるが、実際には円満退社であり次の就職先も決まっていた。その間3ヶ月あったので、「欧州にでも行ってみるか」という軽い気持ちであった。
とはいえ、1泊目のホテル以外はいつどこに行くか何も決めていなかった。私が好きな"ノープラン"というヤツだ。不安が無かった訳ではないが、「まあ何とかなるだろう」という思いである。
具体的な行動としては、ある街に滞在し、その間に観光しながら次の目的地を決め、夜行列車や深夜バスで移動し、翌朝その街に着いたらまずは飛び込みで安宿を探し、数日観光してまた次の街に行くという繰り返しであった。
その約25年前の旅の必需品である。
地球の歩き方
まずコレ! 貧乏旅行やバックパッカーにとってはバイブルのような「地球の歩き方」である。お世話になった人も多いのではないだろうか?
今は普通のガイドブックになってしまったようだが、かつては安宿街や食堂の情報、そして実際の(貧乏)旅行者からの投稿が満載の旅行ガイドだった。しかもこのヨーロッパ編は、たったの1冊で欧州主要国をカバーしてくれる。次にどこの街に行くのかもコレを読んで決めていた。
トーマス・クック
ヨーロッパの鉄道時刻表である。「日本の時刻表はあんなにぶ厚いのに、トーマスクックはこの1冊でヨーロッパ全体を網羅している。何と便利!」と当時は感激し、重宝していたものだ。
行き先を決めるのが「地球の歩き方」なら、スケジュールを決めるのはこの「トーマス・クック」だった。
ユーロパス
節約のため、長距離移動する際には主に夜行の寝台列車を利用していた。チケットは予め日本で購入したユーロパス(今のユーレイルパス)。526 $/5カ国/選択した10日間/特急含めて1日乗り放題というタイプだった。フル活用したが、後から考えると、もっと安く移動する手段は他にもあったかもしれない。まあしかし寝台列車での移動は、旅人同士の出会いもあり楽しかった。
今は知らないが、当時は国境を超える寝台列車では就寝前に車掌にパスポートを預けていた。翌朝返してくれるのだが、それが国境を越えたという実感にもなっていた。(シェンゲン協定は発効されていたので、入国審査の類はなかった)
シティバンク・キャッシュカード
1998年はユーロ€導入前であり、各国の通貨を必要とした。クレジットカードも使ったが、やはり現金も欠かせない。といって両替所に行くのも面倒だし、手数料も高い。そんな時に役立ったのがシティバンクのキャッシュカードである。
予め口座をつくる必要はあるが、ATMはどの国でもあちこちにあるので、必要な分だけ手軽に現金を下ろすことが出来て、とても便利だった。
テレホンカード
ノープランの旅だったので、家族や友人には定期的に居場所を連絡していた。既に日本では携帯やPHSが普及し始めていたが、海外で国際電話できるようなシステムではなかった。なので公衆電話を使うのだが、その際にはテレホンカードが必要となり、各国に入る度にキオスクでカードを買った。そして電話をする時には「ゼロゼロワンダフル!」のキャッチコピーが頭の中を巡っていた。(って知らないか…。もしかしたら今の若い人はテレホンカードさえ知らないかもしれない)
コレらのアイテム。お気付きだろうが、現在ではスマホ1台で事足りる。それどころかホテルや交通、美術館の予約から支払いまで全てがスマホで完結する。もちろん私も今は100%スマホ派だ。便利になったもんだ。(もっともアナログな当時でも、不便だとは全く思わなかったけどね)