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建築ツアーはHow much?

皆さんは建物を見学する時にいくらが妥当だと考えるだろうか?
私は(内容にもよるが)1万円までだったら払う。もっとも日本ではそんな建築見学は今までなかったけど…。




2024年5月、アメリカのシカゴを中心に建築を見て回った。建築ツアーでは見学料を徴収される場合もあるが、その際に料金が高いという理由で見学を諦めたことはなかった。

一般に建築ツアーにはいくつかのコースがある。
「ガイドツアー」とはガイドさんが付いてグループで見学するツアー、「セルフツアー」とは解説オーディオを聞きながら自分で見学するツアーのことである。
今回私が参加したコース(※ 印)は以下のとおりだ。
なお料金は2024年5月時点の一般料金、日本円は当時の1$=155円で換算している。またツアーによっては表示価格に加えて手数料等が加算される場合もある。


◇ ロビー邸(フランク・ロイド・ライト)
・内部ガイドツアー:$20/3,100円
・内部ガイドツアー&外部セルフツアー:$30/4,650円
・内部&外部ガイドツアー:$75/11,625円 ※


◇ ルッカリー(フランク・ロイド・ライト)
・ガイドツアー:$12/1,860円 ※


◇ ユニティ教会(フランク・ロイド・ライト)
・セルフツアー:$15/2,325円 ※
・ガイドツアー:$20/3,100円
・より詳しいガイドツアー:$40/6,200円


◇ ファーンズワース邸(ミース・ファン・デル・ローエ)
・外観のみのセルフツアー:$20/3,100円
・ガイドツアー:$30 / 4,650円 ※



予約する時はあえて円換算しなかったが、帰国後に清算すると「やはり高いなあ」という印象はぬぐえなかった。
ロビー邸など1万円越え! よう参加するね。自分でも呆れる。
まあでも見学ツアーも建物維持するにもコストはかかるから仕方ない。


今回は偶々フランク・ロイド・ライトの建築が多かったが、日本のライト建築の料金は次の通り。

◇ 自由学園明日館:500円
◇ 帝国ホテル中央玄関(博物館明治村):2,500円
◇ ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅):500円


安い! 安すぎるぞ! もちろんそれで成り立つのであれば構わないけど…。
ちなみに私は必ずしも「安い=正義」とは考えていない。



さてそんな建築ツアー料金だが、最後に見学したSCジョンソン(旧ジョンソン・ワックス本社ビル)がまたすごかった。


フランク・ロイド・ライトの設計によって1939年に本社ビルが、1950年に研究棟がつくられた。内部の撮影がNGなので写真では紹介できないが、ライトの代表作なのでご存知の方も多いだろう。ただし現在は諸々の理由でそれらの建物は実際には使われていない。


それでもSCジョンソン社はフランク・ロイド・ライトの建築を後世に伝えるために使っていない建物を維持し、毎日のように見学ツアーを開催している。そのためにビジターセンターまでつくり、少なくないスタッフも雇用しているのだ。

そしてその見学料は驚きの…

0円 !

もう一度書こう。

0円、つまり無料だった。


素晴らしい企業だね!




ところで冒頭で「日本で1万円の建築ツアーなんてない」と書いたが、実はこの記事を書いた数日前、そんなツアーに参加してきた。
数寄屋建築研究で有名な建築家・堀口捨己の設計による「御幸の間」が有名な料亭・八勝館の見学会である。

・国指定重要文化財「御幸の間」「桜の間」を見学
・藤岡洋保氏(東京工業大学名誉教授)の解説付き
・同じく国指定重要文化財「田舎家」での食事(松華堂弁当と吸物)


その料金は15,000円。
いかがでしょう? 安いですか? 高いですか?





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