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読む『対談Q』 藤原麻里菜さん(無駄づくり発明家)前編①
HIROBAの公式YouTubeチャンネルで公開されている『対談Q』。こちらを未公開トークも含めて、テキスト化した”読む”対談Qです。
今回のゲストは無駄づくりの発明で人気を集める藤原麻里菜さん。「みんな平等に価値があるし、平等に好きなことしていい」。つくることそのものを肯定する藤原さん。水野が問いかけていきます。
読む『対談Q』 藤原麻里菜さん
水野:対談Qです。ゲストの方に一緒にひとつの問いについて考えていただこうというコーナー。今日のゲストは無駄づくりの発明家として知られる藤原麻里菜さんです。よろしくお願いします。
藤原:よろしくお願いします。
藤原麻里菜
コンテンツクリエイター、文筆家
頭の中に浮かんだ不必要な物を何とか作り上げる「無駄づくり」を主な活動とし、YouTubeを中心にコンテンツを広げている。2013年からYouTubeチャンネル「無駄づくり」を開始。現在に至るまで200個以上の不必要なものを作る。2016年、Google社主催「YouTubeNextUp」に入賞。2018年、国外での初個展「無用發明展- 無中生有的沒有用部屋in台北」を開催。25,000人以上の来場者を記録した。2020年 Forbes Japanが選ぶ「世界を変える30歳未満」30 UNDER 30 JAPANに選出される。
水野:無駄づくりをされている藤原さんに、ちょっと失礼かなっていう問いなんですが、「本当に無駄なことはあるのか」というお話をしていきたいなと。
藤原:はい
水野:どうやって無駄を見つけているんですか?
藤原:私は無駄っていうのをあんまり深く考えていなくて。というのも私、本当はかっこいいものとかオシャレなものを作りたかったんですね。でも手先が不器用だったり、アイデアが変な方にいっちゃったりして、みんなが作っている綺麗なものとかオシャレなものが作れなくて。
水野:はいはい。
藤原:そんなときに「無駄づくり」って言葉を思いついて。「無駄づくり」って枠組みのなかで「不器用でグチャグチャなものを作る」ことをやったら、正解になるんじゃないかなって。なので「無駄」というワードで自分の駄目さ加減を容認してあげる感覚ですね。
水野:藤原さんが作られるものってみんながおもしろいって思ったり、無駄が楽しく感じられちゃうから、全然無駄じゃなくなっているものもたくさんあって。
藤原:ああ。
水野:どうやって、本来だったら無駄とされてしまうものに光を当てているのかなって。
藤原:寛容性みたいなものを重視していて。社会って不寛容なところがあるじゃないですか。生産性とか効率とかを求めて社会が動いていくと、どんどん不寛容になっていくと思うんですよ。仕事できないひとはリストラされちゃうし、何かを生み出せないひとはダメ。勝ち組と負け組みたいな感じとか。
水野:はい。
藤原:でも本当はそうじゃないじゃないですか。みんな平等に価値があるし、平等に好きなことしていい。
水野:ええ。
藤原:作り出したものが結果、無駄か無駄じゃないかは置いておいて、無駄なものでも別に作っていいし、無駄なものでも生み出すことで先が広がったり、満足できることがある。そんな気持ちが根本にありますね。
水野:「勝ち組と負け組」みたいな話をされましたけど、みんな、今、もうすでにある基準で戦おうとしてることが多いと思うんですね。
藤原:はい。
水野:誰かがつくった、既存の基準で、ひとの価値を判断するってことが多い。だけど藤原さんの「無駄づくり」って、新しいルールや物語を提示していて。選択肢が増えて、みんなが自由になれる。作品が閉じた感じじゃないのが、素晴らしいと思います。
藤原:それは本当に嬉しくて。「無駄づくり」って最初は自分のためにやっていたんですよ。自分が楽しいから。
水野:そうですよね。
藤原:でもSNSを通してアップして、みんなに反応をもらったりして。価値のストライクゾーンみたいなものを広げたいなと思うようになって。
水野:ああ、なるほど。
藤原:今まで「無駄だな」と思って切り捨てたものを「無駄だけど、なんかいいね」って感覚を増やせたらいいなと思ってやっています。
水野:黒電話に「アレクサ」って書いてみたり。すでにあるものを組み合わせたり、違う意味を持たせたりすることで、価値観をガラッと変えて、そこでみんなが「わ!」って思う瞬間があって。
藤原:はい。
水野:すごいのは、それを見て「俺もなんか考えられないかな」って思うんですよ。ものづくりだけじゃなくて、自分の生活にひとアクション加えて、違うことできないかなって。みんな大喜利を楽しむような感覚で。それがすごく優しい。
藤原:嬉しいですね。「無駄づくり」もそうなんですけど、生活のなかでアイデアがひらめくと、自分を後押ししてくれるっていうか。基本ネガティブな人間なんですけど、アイデアが思い浮かんだ瞬間だけポジティブになれて、生きる希望が湧いてくるみたいなところがあって。
水野:ああ、いいですね。
藤原:「これをこうして、こうすれば作れる」って熱中して、それ自体が楽しみになっていくみたいな。
水野:それをアウトプットできる場所があるのは幸せですね。
藤原:ああ、そうですね。
水野:藤原さんのアウトプットは、新しいルールを作る。「こういう遊び場があるよ」「こういう新しいゲームがあるよ」と提示するアウトプットの仕方だから、広がっていくしかない。それはすごく眩しいなって思います。
前編②につづく…。
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