ネガティブか、ポジティブか。
座談会企画「HIROBA茶会」
水野良樹×高橋久美子×関取花
古く日本では戦国武将から文化人まで、それぞれの親睦を深めるために茶会を催したとか。英国では社交の基本に「tea party」があるとか、ないとか。
小難しいことはさておき、お酒が不得意なHIROBAの水野良樹が、どうやったら様々な分野の方々と交流がもてるのだろう。
「酒を酌み交わし、心を開いて本音を語ろうじゃないか」的な文化に、全然とびこめない水野が考えたのが「そうだ、茶をしばこう」。
お招きするのは水野がお仕事やプライベートでつながりをもった方々。毎回、茶会の主催である水野がエンタメにまつわるテーマを持ち寄り、それをもとにざっくばらんにおしゃべり。
自由でリラックスした会話から、なにかの刺激やアイデアが生まれないか。
仕事とプライベートのあいだの、座談会企画。
記念すべき第1回はHIROBAに縁の深い、高橋久美子さん、関取花さんのお二人です。
Part 1 ネガティブか、ポジティブか。
水野 久美子ちゃんとはNHKでこのあいだ、偶然、会ってね。
高橋 そうそう、一瞬だったけどね。
水野 「あ、えっとHIROBAでまた!」なんて慌ただしく…。
高橋 今日実現したね。
水野 HIROBAでの対談は真面目な内容になりがちなので、お茶を飲みながらリラックスして、フランクに話ができたらいいなと思って。
関取 うーん、いいですね。
水野 記念すべき初回は、HIROBAに縁のあるお二人にお越しいただきました。
高橋 ありがとう。
関取 ありがとうございます。
水野 さぁ、まずはメニューを決めましょうか。
関取 チーズトースト、フレンチトースト、うーん、迷うなぁ。
高橋 チーズトースト、いいねぇ。
水野 フレンチトーストもいいけど、やっぱりサンドイッチかな。
高橋 そうよね。
関取 サバもいいな。ああ、迷う。
水野 いい時間(笑)。
高橋 メニュー決めるだけで1時間終わっちゃうかも(笑)。私、シャケ(ファーロミー)にする!
水野 あれ、誰もフレンチトーストいかない?
関取 私、サンドイッチのサバオリーブにします。
水野 僕はタマゴ(ナポリ)にします!飲み物は何にしますか?
関取 また迷っちゃう…(笑)。
高橋 緑の飲み物(コールドプレスジュース)が気になるな。
関取 ホットコーヒーのスペシャルティにします!
水野 僕はほうじ茶ミルクコーヒーにします。
関取 美味しそう。
高橋 やさしいね。
水野 久美子ちゃんは去年の春に対談で登場いただいて。
高橋 そっか、そうだったよね。1年早いね。
水野 関取さんは連載で頼ってばかりで…。
関取 いやいや、とんでもない。こちらこそありがとうございます!
高橋 花ちゃんの歌詞は泣けるのに笑える、その両方が同居してるよね。
関取 本当ですか!うれしい。
水野 意識してるんですか?
関取 あまり意識してはいないですね。でも、そもそものマインドが「でも、だって、だから…頑張ろう」という本来は否定的な“D言葉”からしか活力が生まれないタイプなので。
高橋 なるほどね。
関取 泣けることがあっても「だから、ここから進むよ」と、探していきたいんでしょうね。
水野 一回ストレスをかけて、それを跳ね返す。
関取 そうなんですよ。
水野 人間は2パターンいると思っていて。バームクーヘン理論という…。
(ここでドリンク登場!)
高橋 おー、すごい!(この日のコールドプレスジュースは小松菜、バナナ、オレンジのミックス)。濃い〜。
一同 いただきまーす!
水野 しっかりほうじ茶です。
高橋 おお、小松菜〜!
関取 美味しい〜。なんかオシャレな人になった気分♪
水野 何の話だっけ?
高橋 バームクーヘンよ。
水野 あ、そうそう!「核の部分が明るくて、まわりをネガティブで固めている人」と「装いはすごくハッピーで明るいけど、核の部分はネガティブ」。このどっちかだと思う。
関取 ああ、そうですよね。
水野 僕はまわりがネガティブで、真ん中はめっちゃ明るい。
高橋 あ!
関取 へー!
水野 実はね。信じてもらえないんだけど。
高橋 逆だと思ってたよ。
水野 二人はどちらのタイプ?
関取 私はバームクーヘンで言うと、ネガティブ、ポジティブ、ネガティブ、ポジティブ…と層が重なって、真ん中にいったときに「あれ、どっちだろう?」ってわからないタイプです。
水野 ああ、なるほどね!
関取 バームクーヘン女。自分でもわからなくて…(笑)。
水野 行ったり来たりする?
関取 そうですね。ネガティブではないけど、何でも「大丈夫だよ!」って頑張れるタイプでもない。
水野 今回のミニアルバム「きっと私を待っている」がそんな感じだよね。
関取 あー、そうです!まさに。
水野 久美子ちゃんは?
高橋 私は「まわりをポジで囲んでいるネガ」だと思うよ。たぶん、ずっとその感じだね。
水野 そっちか。
高橋 ネガティブを力にして書き続けている気がするけど、「明るくて悩みなさそう」って言われるよ。
水野 久美子ちゃんの詩集(「今夜 凶暴だから わたし」)を読んだら「絶対、悩みあるでしょ!」って思うよ。
高橋 それはね、今までほとんど出していなかった部分を出しましたねぇ。
水野 ああ、やっぱりそうなのか。
関取 私、高橋さんのエッセー集「いっぴき」が好きです。
高橋 おお〜、なんだとぉ!ありがとう!!
(つづきます)
高橋久美子(たかはし・くみこ)
1982年生まれ。作家・作詞家。
2004年、チャットモンチーにドラム、作詞家として加入。2011年、チャットモンチーを脱退。以降、アーティストへの歌詞提供や、エッセイ集の出版など、精力的に活動。近著に詩画集「今夜 凶暴だから わたし」、絵本「あしたが きらいな うさぎ」など。
高橋久美子オフィシャルサイト
高橋久美子Twitter
関取花(せきとり・はな)
愛嬌たっぷりの人柄と伸びやかな声、そして心に響く楽曲を武器に歌い続けているミュージシャン。NHK「みんなのうた」への楽曲書き下ろしやフジロック等多くの夏フェス出演、初のホールワンマンライブの成功を経て、2019年5月にユニバーサルシグマよりメジャーデビュー。
ちなみに歌っている時以外は、寝るか食べるか飲んでるか、らしい。
関取花オフィシャルサイト
<今回の茶会の舞台はこちら>
FARO CAFFE
Illustration/Yayoi Sunohara
Text/Go Tatsuwa
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