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次のフェーズの距離感

「TOKYO NIGHT PARK」HIROBA編集版
水野良樹×ハマ・オカモト

OKAMOTO'Sのハマ・オカモトさんを迎えて、
ついに実現した
J-WAVE「TOKYO NIGHT PARK」の対談。
2週にわたるオンエアに加えて
放送されなかった内容まで、
熱い言葉の数々を
全4回のHIROBA編集版としてお届けします。

Part 2 次のフェーズの距離感


ハマ ありがとうございます!

水野 今、どんな気持ちでバンドに向き合っていますか?

ハマ 中学の同級生なので。まぁ、デビューから10年ですけど、人としての付き合いはそれ以上ある。今、いちばん話がしやすいという感じですね。

「一周まわった」じゃないですけど。18、19歳で学生の延長のようなかたちでデビューして、面と向かって話さないような時期もありました。そういうことを一周、二周、三周、何周したかわからない(笑)。

今は音楽的にも人間関係的にも変な気をつかわずにうまくやれているなと。こういう難しい局面でも、ちゃんと話ができているので。

水野 ああ、すごいですね。グループって…話すことが難しいですよね(笑)。

ハマ 本当に(笑)。3人も数字的に難しいと思います。4人は4人で難しいところはありますけど。

水野 それぞれのバランスがありますよね。

ハマ そうです!10年という月日がなければ、今のような状況はないのかなと思います。

水野 ライバルというか、お互いに意識し合うような感覚ですか?どういう部分で気をつかうのかなと。

ハマ 音楽面というか、センスのような部分ですね。簡単に言うと、在学中からいちばん音楽を聴いていた人間の集まりで、4人とも好きなものがバラバラ。とりわけバンドだと、ひとつのものをつくる上でレコーディングや制作は「自分の引き出しを提示するような感じ」じゃないですか。フレーズにせよ、アレンジにせよ。

水野 はい。

ハマ そういうときに、自分以外の3人に「いや、それはないな」と言われないようにしている緊張感というか。

水野 なるほど。

ハマ そのために年代関係なく知らない音楽をたくさん聴いて、新しい引き出しを用意する。そうしないと各々が言っていることについていけなくなる瞬間があるんですよね。

水野 えー!

ハマ そういう緊張感がありますね。あとは「こういうときは話しかけないほうがいいな」といった夫婦間みたいな(笑)。言ったら機嫌が悪くなる、NGワードというか。

水野 あります、あります(笑)。

ハマ 4年くらい前から個人的に干渉することをやめて、3人が日頃何をしているかを遮断しています。学生の頃から一緒にいるので、そうしないと新鮮さがなくなってしまって。

水野 いやぁ、わかります。いきものがかりはプライベートでは全然関わらないですからね。

ハマ ああ、本当ですか!一緒ですね。

水野 それも一周まわったのかもしれないけど、デビュー10周年までは3人でご飯を食べに行ったことが一度しかなかった。

ハマ ウオー!!!いいですね(笑)。

水野 ほぼミーティングに近いような真剣な話だけで。3人でご飯を食べに行くことを特別なことにしていた。

ハマ わかるなぁ。

水野 プライベートでは勝手に線を引いて。でも活動休止を経て、すごく仲良くなっちゃって(笑)。

ハマ (笑)めちゃめちゃいい話じゃないですか!

水野 ちょっと変わりましたね。高校生の頃に戻ったというか。次のフェーズの距離感をうまく計り合っているような。

ハマ ああ、なるほど。集団としての成長もあるでしょうけど、やっぱり一個人としての成長があるわけじゃないですか。それがうまいこと周り回って針が重なり合うというか。時期によってもありますよね。

水野 これ、リスナーのみなさんにネガティブに受け取ってほしくないですけど。バンドとかグループって全員が一緒に成長しないじゃないですか。成長の速度がバラバラというか。

ハマ そうですね(笑)。

水野 ある時期はAさんがすごく伸びて、Bさんは全然だとか。ある時期はその逆だとか。そこでお互いの感覚がズレてしまう。どのグループにもあるだろうけど…難しいですよね。

ハマ そうなんですよ、難しいんですよ。お聴きのみなさん!(笑)

水野 (笑)だから、長く続いているグループはすごい!

ハマ そうですね。

水野 自分のバンドが続いている理由を言うとしたら、何だと思いますか?

ハマ これもネガティブに捉えてほしくないですけど、最初の3年間くらいは友達同士でやっているような感覚が強かったですね。でも、それ以降は自分にはない観点を持っているミュージシャンが4人集まっている感覚になっていった。

水野 はい。

ハマ 距離を置いていると言いましたけど、側から見ると理解し難いところもあるみたいで。よくお客さんに「たまにメンバーに対して冷たいですよね」と言われます。僕たち4人は全然そんな空気ではないのですが。人によって成長速度も違うし、気分や感覚によっても変わる。誰でもそうじゃないですか。

水野 そうですよね。

ハマ そのあたりをずっと尊重し続けられているのは重要かもしれないですね。性格もバラバラですから。「仲良しでやってください」って言われたら…絶対に続かないです(笑)。

水野 雑誌の撮影で「肩組んでください」と言われるのが嫌でしたね(笑)。

ハマ わかります!絶対にやらないですよ!「もっとギュッと!」みたいな(笑)。

水野 あれ、すごく嫌で(笑)。

ハマ いやぁ、本当に…。そうじゃないグループもたくさんいるから、余計に対比でそう見えちゃうでしょうけど、「一人ひとりの人間が集まっている」ということを早めに共有できたことがよかったのかなと。

水野 そのフェーズの変わり方って、なんで起きるのかなと思うけど…いつか起こりますよね。

ハマ 続けないと起こらないですよね。

水野 ああ、そうか。

ハマ 段階があるという…10年続けられたからこそ、気づけたことですね。

水野 僕は「解散間際のバンドのライブやアルバムはすごくいい」という説を唱えていて。

ハマ はいはい(笑)。

水野 解散間際って本当に仲悪かったりするじゃないですか。そういうときはリアルに音楽でしかつながっていない状況が多い。

ハマ ああ、確かに。

水野 僕が大好きな安全地帯が…。

ハマ おお!

水野 最初の解散を迎える92年の神奈川県民ホールでのライブが…もう…バチバチ!情報によるとセットリストも決めていなかったみたいで。

ハマ えー!

水野 玉置(浩二)さんが歌い出したら、それについていくセッションのようなライブで緊迫感がヤバい。

ハマ スゴいな。リリースされていますか?

水野 ライブDVD(安全地帯「アンプラグド・ライヴ!」)が。もしよかったらチェックしてみてください。

ハマ あ、見よう!それは知らなかったです。

水野 けっこう…ヒヤッとしますよ。

ハマ 安全地帯はみなさん本当に素晴らしいミュージシャンじゃないですか。

水野 素晴らしい!

ハマ だからこそできるライブだし、だからこそ起こるヒヤヒヤ感みたいな…。

水野 玉置さんのすさまじさを支えられるバンドもすごい。

ハマ いやぁ、本当そうですよね。

水野 それぞれのプレーヤーに個性があって。

ハマ うーん、その説は面白いな。

水野 仲が良いとか表面的なことではなく、本質に緊張感があるといい。

ハマ そうですね。

(つづきます)

次回:Part 3 プロの仕事
前回:Part 1 純粋に楽しむ精神状態を取り戻す

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ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)
1991年生まれ。ベーシスト。
4人組バンドOKAMOTO’Sの活動のほか、
数多くのアーティストのレコーディングや
ライブサポートでも活躍。
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OKAMOTO‘S オフィシャルサイト

Text/Go Tatsuwa

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