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読む『対談Q』崎山蒼志さん(シンガーソングライター)前編①

HIROBAの公式YouTubeチャンネルで公開されている『対談Q』。こちらを未公開トークも含めて、テキスト化した”読む”対談Qです。

今回のゲストは独自の言語表現が魅力のシンガーソングライター崎山蒼志さん。

唯一無二の声をもつ崎山さんに、あえて聞いてみる「良い声」


水野:今日の問いは「良い声って何?」です。

崎山:はい。

水野:崎山さんといえば、唯一無二の歌声。いきなり聞いちゃいますけど、自分の声は好きですか?

崎山:うーん、どうなんでしょう。

水野:難しいですよね。でも、声について、いろいろ言われることが多いんじゃないかなと。みなさんはまず、崎山さんの声に惹きつけられると思います。そんな評価についてはどう思っていますか?

崎山:自分としては、もともとこういう声でやってきたから…というか。変声期もあったので、だんだんと今の声になったと思うんですけど。自然だなと。

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崎山蒼志
シンガーソングライター
2002年生まれ。静岡県浜松市出身。独自の言語表現が魅力。2018年インターネット番組の出演をきっかけに世に知られることになる。2021年1月メジャーデビュー。2021年水野良樹(いきものがかり)との共作楽曲『風来』を制作。

崎山:とくに意識はしていなくて。当たり前のものだと思っていたので。そうやって言っていただくことが増えて、少し特異的な部分があるのかなと思い始めて。そこからですね。自分でも「たしかにな」って。自覚は全然なかったです。

水野:今回『OTOGIBANASHI』という企画で歌ってもらいましたけど、違うひとのメロディーを歌っても、やっぱり「あ、崎山蒼志が歌っている」ってなると思うんです。歌い方で意識されていることはあるんですか?

崎山:もともと「このひとの声、特徴的だな」みたいなシンガーに惹かれる部分があったので。声の高い男性の音楽を聴いていたり。そういう曲のカバーは変声期中の子どもでも歌いやすくて。

水野:ああ。

崎山:女性ボーカルの歌とかも聴いて。いろんな方の影響を受けて、今の形になったと思います。

水野:影響ってそんなにストレートに出ないときありますもんね。

崎山:そうですね。

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水野:出汁みたいになっていくというか。にじむものだから。もともと、どういう音楽が好きだったんですか?

崎山:母親の影響でビジュアル系から入って。BUCK-TICKさんとか、the GazettEさんとか。艶やかなかっこいい声。あとSEKAI NO OWARIさんとかは小学校ぐらいのときに家でカバーしたりして。クリープハイプさんも。

BUCK-TICK『JUST ONE MORE KISS』

the GazettE『SHIVER』

水野:ちょっと意外に思われるかもしれませんね。

崎山:そういう方々の歌を、変声期とかも歌い続けて、今みたいな声に。そういう方々の特徴を借りつつ。歌い方としては、わりと抒情的なひとに影響を受けているなとは思いますね。

水野:でも、崎山さんの歌は、良い意味で抒情的ではないというか。ちょっとドライな気がするんですよね。

崎山:ああ、はい。

水野:どうやってそのバランスを保っているのかなって。冷静に歌おうみたいな意識はあるんですか?

崎山:いや、あんまりないんです。叙情的に歌う方が好きといいながら、訥々と歌う方も好きで。そういう好きなシンガーの要素がエッセンスになって出ている感じはあります。自分としては全然(自分の歌に)納得いってないんですけど。

水野:そうか、納得いってないんだ。言語化するのは難しいと思いますが、崎山さんにとって理想な歌声ってどんなものなんですか?

崎山:自分の歌で言えば、もうちょっとスムーズな感じで、滑らかに歌えたらいいなとは思いますね。「ここ、肩の力が入っているな」とか思っちゃうこともあるので。

水野:ライブとレコーディングでは、どっちが好きですか?

崎山:ライブの方が好きですね。

水野:ライブの方が声は熱くなります?

崎山:そうですね。だからライブ音源とか聴くと、ちょっと熱すぎるなって思います。コントロールできてない気がしますね。

水野:ああ。

崎山:とは言いつつ、威圧的な声も好きではあって。「ここ変な帯域の声出ているな」みたいな部分とかも。そこらへんを、もっと活かしていきたいんですけど。

水野:結構、雑食なんですね。

崎山:はい、そうだと思います。

水野:リスナーとしては雑食で、いろんな要素が上手く混ざって、秘伝のたれみたいになっているのかな。

崎山:そうなんですかね。

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水野:最初に出会ったとき、僕のラジオ番組に来てくれて。実際にその場でギターを抱えて歌ってくれたんですけど。そのときは楽器と混然一体になったみたいな歌声で。水が流れていくように、わわわ~ってとめどなく来る感じがあったんですよ。

崎山:それ、嬉しいです。ありがとうございます。わりと自分は、歌を歌っている感じで歌っていない部分もあったというか。バンドとかと一緒に鳴っている音のひとつだと思って歌っていた時期もあったので。

水野:いち要素だと。

崎山:はい。だから「歌を歌おう」って気持ちになったのは、最近ですね。

水野:変わっていったんだ。歌をサウンドのいち要素とするスタイルもあれば、歌を主役然とさせるスタイルもある。どっちが難しいですか?

崎山:どっちも難しいです。でも、歌を主役にするのはやっぱり難しいなって思いますね。みなさん、歌が上手いなぁと思います。

水野:いろんなスタイルがあるじゃないですか。声量で見せつけるタイプの方もいれば、ウィスパーボイスで囁くように歌う方もいれば。

崎山:はいはい。

水野:どちらも良さがあると思うんですけど、崎山さんはどっちでもできますよね。圧でいくパターンもやろうと思えばできるし。ご自身が言っていた訥々と歌いかけることもできる。実は幅の広い声なのかなって。

崎山:励みになります。

前編②につづく…


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