「TOKYO NIGHT PARK」 宇賀康之さん対談 HIROBA編集版 後編
スポーツ総合雑誌「Sports Graphic Number(以下、Number)」編集長の
宇賀康之さんを迎えたJ-WAVE「TOKYO NIGHT PARK」の対談。
これまで同様の取材ができない苦労、コロナ禍だからこそ実現した特集など、誌面づくりの知られざる舞台裏も大公開。
前後編のHIROBA編集版としてお届けします。
【後編】これをやると、面白いことになりそうだ
水野 ここで、リスナーのメッセージを紹介します。
ラジオネーム 宇希(うき)さん 24歳 男性
よっちゃん、こんばんは!2020年も残りわずかになりましたね。我慢の一年だったと思いますが、コロナ渦のおかげでできたコトありますか?
僕はコロナ渦の中でどこにも行けなかったので、近所の公園のジョギングコースを毎日ランニングし、去年の健康診断から17キロのダイエットに成功しました!
水野 すごいな!
宇賀 すごいですね。
水野 宇賀編集長は、運動されますか?
宇賀 たまに、するくらいですね。
水野 文藝春秋に入社された当初から「Number」志望だったんですか?
宇賀 基本的にはノンフィクション志望でしたね。当時は、「週刊文春」「Number」「マルコポーロ」といった雑誌があって。
水野 最初からNumber編集部ですか?
宇賀 そうです。その後に週刊文春ですね。僕はNumberと週刊文春と月刊「文藝春秋」を行ったり来たりしていて。
水野 へー!雑誌の現場ごとに、空気は全然違うものですか?
宇賀 全く違いますね。
水野 週刊文春というと…やっぱり大変なんだろうなと。
宇賀 はい。
水野 でも、週刊文春の大変さとNumberの大変さは種類が違うんだろうなと。
宇賀 違うかもしれないですね。
水野 雑誌は編集長によって、カラーが変わるということも伺います。
宇賀 はいはい。
水野 編集長の判断は影響が大きいものですか?
宇賀 やっぱり決定権がありますからね。誰かが決定しないと収拾がつかないので、そこは大きい存在かもしれないですね。
水野 編集部員から企画が挙がって、「これはOK!」と思う企画と「これは…もうちょっとだな」と思う企画の差はなんでしょう?
宇賀 うーん。なんでしょうね(笑)。
水野 感覚ですか。
宇賀 グッとくる何かを感じる企画と、そうでない企画がありますよね。「まぁ、こんな感じかな」という企画と、「本当にこれがやりたい!」という企画では、熱量も違いますし、仕上がりも違いますよね。ただ、必ずしも熱量があればいいということでもないのですが。「これをやると、面白いことになりそうだ」という感じですかね。
水野 あまりに突飛なことばかりやりすぎても、Numberが築き上げてきたものの尊さもあるでしょうし。
宇賀 そうですね。でも、そこはあまり考えていないかもしれないですね。
水野 ああ、そうですか!
宇賀 Numberらしさ、みたいなもの。つまり、人間を描く、表面からは見えてこないスポーツのドラマにスポットを当てるとか、とにかくカッコいいビジュアルと面白い文章を載せるという部分はずっと継承していますが、それ自体は意識しなくてもできることなので、そこを「やらなきゃいけない」という感じはないんですよ。
水野 はい。
宇賀 自分たちの「らしさ」と、それを超えたものを創り出すことの難しさについては、水野さんもいつかおっしゃっていましたよね。
水野 そうですね。守りながら攻めるというか。
宇賀 ああ、そうですね。
水野 難しいことですけど、すごく大事なことだと僕も思います。Numberの場合は40年にわたって、それをやり続けている。その間にも、新人選手がスター選手になり、引退して、その後の人生があり、という人間ドラマがあって、結果的にそのすべてを追っている。そのすごさがありますよね。
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