読む『対談Q』 世武裕子さん(映画音楽家)後編①(未公開トーク)
HIROBAの公式YouTubeチャンネルで公開されている『対談Q』。こちらを未公開トークも含めて、テキスト化した”読む”対談Qです。
今回のゲストは映画音楽家の世武裕子さん。
10月28日発売の『OTOGIBANASHI』にて「哀歌」という楽曲をサウンドプロデュースしてくださっています。水野良樹とは、なんと同い年。はからずも同級生対談となった2人のトークは、笑顔が絶えない明るいトーンのまま、さりげなく深いところまでたどり着きます。
前回のつづきから↓
(前回のつづき)
世武:水野さんは友達とかいるの?
水野:いないんですよ。
世武:寂しくないんですか。
水野:寂しくは…寂しいのかなぁ。
世武:興味はあるの?
水野:多分ねぇ、ないんですよ。そこが多分、僕がいちばん人間として抱えている欠陥で。他人に興味がないんですよ。
水野から飛び出た「他人に興味がない」というキラーワードから、後編はスタート。ここからはYouTubeではカットされた、未公開トークも含みます。
読む『対談Q』世武裕子さん(映画音楽家)
世武:興味はあるの?
水野:多分ねぇ、ないんですよ。そこが多分、僕がいちばん人間として抱えている欠陥で。他人に興味がないんですよ。
世武:いや、でもなんかわかった気がする。作っている曲で大体なんとなく見えるけどさ。
水野:ああ、わかっちゃった。
世武:【いい曲を作ること】と、【いいひと】って、違うのと一緒で。別に水野さんが、いいひとじゃないって話じゃなくて。
水野:うんうん。
世武:優れた作品を量産しているひとっていると思うんですよ。人間が好きで、ひととしての心を愛されているひと。逆に、全然人間には興味がないけど、すごくいい作品を作って愛されているひと。どっちもいる。
水野:ああ。両方ね。
世武:でも、その出口は実は些細な違いだから。ちゃんと意識していないと、その差がわからなかったりする。
水野:わからないよね。普通ね。
世武:でも、きっと作り手側って、その違いを感じとることがあると思うんですよ。水野さんは、そういう感じがする。ちょっと無機質なところがあるみたいな。
水野:あー、はいはいはい。嬉しいわ。
世武:いきものがかりにも感じますけど、すごく多くのひとが感動して、口ずさめて、わかりやすいところもちゃんとある。愛されている。だけど、ものすごい「スン…」って感じるところもある。
水野:よくみてるね。その通りだと思う。
世武:もちろん、メンバーの皆さんのキャラクターが集まったバンドだけれど。そういう部分は、水野さんの資質が反映されているのかなって。
水野:ひとりじゃ生きていけないじゃないですか。それはわかっているんですよ。
世武:うんうん。
水野:で、どこか根源的には寂しさはあるのね。誰かと分かり合いたいとか。だから、それをひねくらせた結果、ああいう極端にポップな方向に自分は向いたんだと思うんですよね。
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