『今日も書けない』 part 1
今日もどこかで。
今日もどこかで、大嫌いなひとが、自分がつくった歌を歌っている。
このひととは、さすがに、わかりあえないだろうなというひとが。
それは、あるいは、可能性だとも思う。
…というようなことを、最近よく考えています。
最近?いや、ずっと前からか。
すみません、唐突に。
定期購読マガジンを購読してくださっている方々に読んでいただける限定記事を書かなくてはなと思って、いろいろ考えをめぐらせていたのですが、やっぱり歌のことくらいしか話すことがなくて、でも「曲作り講座」風になるのもおこがましいし、そもそもそんなに体系化されたメソッドや知識を自分は持っていないし。どうしたものか。いつも自分が呟いていたことってそもそもなんだっけと思って。
出てきた言葉が…
「今日も書けない」
いつも書けないんですね。最終的には無いアタマを絞って、もうギュギュギュっと絞り切って、頑張って書くんですけれど。締め切りも来ちゃうし。 でも肌感覚としては「曲、書けないなー。今回はやばいかもなー」とたえまなく、わりといつも思っているんです。
なので鍵盤の前に座って、PCの前に座って、普段、曲作りをするときに、いちソングライターとして
・自分が考えていること(=ソングライティングのスタンス)
・気をつけていること(=方法論)
・迷っていること(=課題点)
・やべぇ、マジでしくじったと思っていること(=失敗点)
そういうことを淡々と公開していくしかないなと。
それらを、ここで短いストーリーにして書くことで
・もしかしたら曲作りに興味のある方には反面教師の素材になるかもしれないし
・ときどきヒントになるようなことを間違って話すかもしれないし
・いちソングライターがうじうじ悩んでいる様子そのものが、ちょっとした読み物になるかもしれないし
そんなふうに思って、このシリーズを不定期で始めたいと思います。
もしよろしかったらぜひお読みください。
こんな厳しい春ですから、結局、音楽ってなんの助けになるんだっけ?ということは断続的に、何度も、頭のなかに浮かんでは消えて、考え続けていますよね。
題名をもう一度。
「今日も書けない」
”万人受け”に魅せられて
冒頭の話に戻るんですけれど。
なんでこうも自分は、ポップソングというか、ポピュラリティーのあるものばかり志向して、いわゆる"万人受け"を目指すのだろうとよく思うんですね。
その理由となることは明確にいくつかあって、そのどれもが大切なストーリーなのですが、そのなかでもフランクに話せるもので、思い出すことのひとつが高校時代のこと。
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