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My love〜高校生編〜第1話「急いで!初恋」
昭和55年、僕、荒木ヒロユキは北海道の東部、K市の東陽高校に入学した。いろいろな事情で本来ならば1年前に入学していなければならなかったのだが、それまで行っていた学校が自分に合わなくて辞め、普通高校を受験して1年遅れて晴れて1年生のこの日を迎えた。
自分でいうのもおかしいのだか今の僕からは想像できないくらい、極端に人見知りの激しい性格で人と仲良く話をするなんてとんでもなく高いハードルだった。しかも中学の同級生など勿論いない。一つ年下の知らないやつばかり…。
それでも入学して1ヶ月、頑張ってどうにか男の友達は作ることが出来た。しかし元来の上がり性、女の子と話をするなんて自分にとっては至難のワザだった。
それからまた1ヶ月、席替えが行われた。今までは机がひとつずつ離れて出席順に並んでいたのだが2つ繋がって「お隣」ができることになった。しかも苦手な女の子と一緒!恥ずかしくて、恥ずかしくて…苦痛しかなかった。
その席替えで隣になったその子はとてもおとなしそうに見えた。だから話をかけてこない分、少しは楽だろうなんて情けないことを思ってあた。
名前は柏木裕華(ゆうか)、少し色黒、髪の毛も黒くて肩まで伸びていた。
目はぱっちりとしていて、デビュー当時の早見 優ちゃんによく似ていたような気がする。身長は157cmくらいのスレンダーな女の子だった。
席が隣になって、僕は彼女に第一声を発することになった。
「あ、ど、どうも!荒木です。よろしく。」
情けないくらい恥ずかしがり屋の、精一杯の挨拶だった。
「柏木です。よろしくねっ。荒木君のうちって、桜町かな?私、手前の春本町なんだ!
帰りのバス停でよく見るんだぁ、うふっ☆」
あれ? イメージとはかなり違ってた。
おとなしそうな感じの子だと思ったのに・・・妙になれなれしい奴だなぁ。
「え? そ・そうなの?…。」
今思うと、どうしてこんなに情けないんだろう?と思うくらい彼女にそっけない返事を返した自分だった。でもそんなことお構いなく彼女は自分のペースでしゃべり出す。
「荒木くんっておとなしそうだもんね、ごめんね、私結構しゃべるからうるさかったら言ってね!でもたぶん、止まらないと思うんだけど。」
『勝手にしゃべるのはいいが、俺を巻き込むのはやめてくれ!』と思っていたが言えず、1時間目の授業が始まるのだった。
1時間目は国語の授業だった。この先生の授業は退屈だった。僕はこの時間は内職の時間と決めていた。今はどうかわからないが当時の現代国語の教科書は厚く、パラパラマンガを書くには最高だった。
1ページ、1ページ動く絵を本の端に描いてパラパラめくると絵が動くという芸術!
僕の書いていたのは「うんこがお尻から、とぐろまいて落ちる」という作品。調子よく書いていると隣の裕華が僕のそばに寄ってきて
「な~に書いてんの?荒木君!見せてぇ!」
僕の腕に彼女の顔というか、頭がくっついている。僕はいろいろな意味でドキっ!とした。あ、あぁ、見ちゃダメだよ!!こんな下品な絵!
でも裕華は、そのパラパラマンガを見て感動したらしく、
「わぁ~、すごい!こんな感じでうんこって丸くなるんだぁ~。オモシロ~イ!!出来上がったら見せてね!」
近づいたときの裕華の髪の毛のにおい、清楚なシャンプーの香りになぜかドキッ!とした。そしてこんなに簡単に異性に接近できるの?女の子って……!初めての体験だった。
まさか、これって……異性を意識している感じ?一瞬にしてとても気になる存在になってしまったのだった。
僕はこの瞬間を境に生まれて初めて女の子に、いや…この裕華に積極的に話かけてみたくなったのであった。
〜第2話に続く〜