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SASAnote vol.30 「得点を取る能力には自信を持っている」~林陵平という真なるストライカーを迎えて

「覚悟をもってきたので、チームの勝利に貢献したい。ザスパが自分を必要してくれ、自分も挑戦したいという思いだ。」「得点を取る能力には自信を持っている。」

練習初日の囲みインタビューで、林陵平はこう話した。

長年、結果を出し続けているストライカーの眼差しとは、こんなにも力強く、頼もしいものなのだろうか。そして、発する言葉には、強い覚悟と責任が込められ、感じられる。それが、林陵平という選手を間近で見た印象だ。

新型コロナウイルスの影響で、リーグは延期の状況が続いている。再開予定は、4/5 第8節 山口戦だが、まだまだ先を見通すことができない。それでも、ザスパは、再開後により良いサッカーを、そして、勝利という結果を、待ちわびるサポーター、県民に届けようとトレーニングに励み続けている。そんなタイミングで、ザスパは、J2東京Vから林陵平を期限付き移籍で獲得した。

林は、プロ12年目、明治大在学中に特別指定でプレーした横浜FC時代を含めれば、プロカテゴリーで13年目の選手だ。東京Vの下部出身で、東京V、柏、山形、水戸、町田と複数のクラブで活躍してきた。J1、J2で、リーグ戦264試合65得点と活躍し、J2では、10年柏で10点、13年山形で12点、17年水戸で14点と、3度の二桁得点を記録してきたストライカーだ。シーズンによって増減はあるが、チーム、年齢に関係なく、安定して得点を重ねており、当然、ザスパでも、ゴールという結果が求められる。本人も、「ザスパの試合も見たが、起点になれるFWが足らず呼ばれたと思っている。自分の特徴はゴールを取る事だし自信を持っている。」と意欲十分だ。

頼もしい仲間が加わった事は喜ばしいが、ザスパは、なぜこのタイミングで林の獲得に動いたのだろうか?そもそも、開幕前、ザスパは、「夏の補強はせず、このメンバーで戦いたい。」という事を話していた。それでも、夏どころか、この早い段階で補強に踏み切った。奥野僚右監督はその理由について、「選手層を厚くしたい。目標を達成するために必要性を感じて獲得した。」と話した。今季のザスパは、最前線に、大前元紀という大黒柱がいる。ただ、青木翔大はリハビリが続き、復帰が待たれる状況だ。他にも、コンディション面、実績面で心配な部分がないわけではない。そうした状況を考慮すると、得点力がある選手の必要性は感じられる。言質に縛られることなく、臨機応変に、素早く対応し、獲得できたことはプラスでしかない。

林は、奥野監督がJ2山形で監督を務めた12年、13年の2シーズン、ともにプレーしている。先ほども紹介したように、13年には32試合12得点と結果も出している。

そんな林について、奥野監督は「タフで、気持ちのいい選手。全力をピッチで表現でき、頼りになる選手。」と期待を寄せる。一方、林も、奥野監督について、「奥野さんには電話をもらい、力になって欲しいと言われた。そういう監督の下でできるのは幸せだ。奥野さんは、人として素晴らしい方だし、やり方は理解している、すぐになじめると思う。」と互いに信頼関係は十分だ。

そして、監督だけでなく、これまでの所属チームでチームメイトだった選手が多いのも強みだ。同い年の渡辺広大、舩津徹也は山形時代のチームメイトで、日頃から連絡を取り合う仲だ。また、宮阪政樹は明治大の後輩で、内田達也は東京V、平尾壮は町田でチームメイトだった。また、奥野監督が、「言葉だけでなく、態度もオープンな選手。」と話し、林、本人も「練習初日だったが、すぐになじむことができた。」と話すなど、適応力も高く、チームメイトとの関係は深まっていくばかりで、サッカーにもいい影響を与えてくれそうだ。

もちろん、現代サッカーが、ひとりで状況を打開できるほど簡単でない。林も、「期待が大きいのは重々わかっているが、サッカーは簡単に行くものではない。」「上を見る事も大事だが、J2残留をしっかり考えないといけない。上を見過ぎるとチームが悪くなった時に厳しくなる。まずは1試合1試合戦って、残留することがチームにとって大事な事だ。」と、ザスパの立ち位置を冷静にとらえている。

だが、もちろん、受け身に回るつもりなど一切ない。

林は、「間違いなく試合では120%の力を出して戦う。勝ち負けは、後からついてくるものだが、まずは全力でプレーする所をチームとして見てもらいたいし、自分としてはゴールをして、みんなと喜びたい。」と、強い眼差しでサポーターに呼びかける。

07年の特別指定で所属した横浜FC時代も含めれば、プロチームで13年目のシーズンだ。そんなシーズンに、早々と移籍を決断し、強い思いをもってザスパにやってきた。

林は、「自分は年齢を気にしていないが、周りはベテランとして見る。でも、フレッシュな気持ちだし、試合に出て、ただただゴールを決めたいという思いだ。」と今シーズンの思いを口にした。

ストライカーとして、シンプルで、純粋だ。彼を満たすものはゴールという喜びであり、それに歓喜するサポーターの声なのだろう。ザスパサポーターにとっては、ストレスのたまる日々が続くが、リーグ再開後、林陵平というストライカーが、そのストレスをゴールと勝利という形で十二分に晴らしてくれるに違いない。

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