掴めそうで、掴めない
遠く、人から離れると、自分の声がよく聞こえるっていうか、やっぱ人の声が入ってこなくなる。
そういうのにはもう慣れたんだけど。
アリススプリングスに向かうバスを待ってる僕はやっぱり乾いた風に吹かれている。
黄金色した光が地面に射してる頃だ。
考える事と言えば昔の事、そして少し先の未来。
誰も不安なんてあおっちゃいけない。
そんなものは存在しないんだって言ってて欲しい。
アリススプリングス迄の道のりは遠く、休憩でテナントクリークという街に着いた。
ダーウィン、カカドゥの旅に次ぐ二度目の「ノーザンテリトリー」を今回は南へ、アリススプリングスとウルルを目指してる。
目指すものがあってそれに全身全霊で向かってくのってなんでもかっこいいと思う。
バスがアリススプリングスに着く頃にはもうすっかり辺りは暗くなっていた。
その夜もいくつかの出会いがあった。
バッパーで一期一会の大事さを胸に刻みながら眠る。
俺も、いつかウルルに行くんだ。
行くならこのノリで行かなきゃ一生いけねぇ。
アリススプリングスの街に仕事探しに出てみることにした。
メインストリートって感じのトッドモール周辺にも活気ってのはなくて、アボリジニがよたよた歩いとった。
アンザックヒルっていうアリススプリングスの街を見渡せる丘の上、今日もいつの間にか夕日が落ちてく時間。
遠くの丘の向こうに落ちてくのをゆっくり、じっと見てる。
ちょっとした建物の脇に真っすぐ伸びてる棒の上にオーストラリアの国旗が揺れてる。
太陽が落ちて、また夜が来た。
静かな夜。
夕暮れから夜になっていく時間が好きで何度も写真を撮ってた。
街は夜に包まれた、僕は街に降りバーに入る。
ビールでも飲もうか。
そういやアリススプリングスに滞在して何日か過ぎた頃、ボタニックガーデンに仕事探しがてら行ってきた。
アリススプリングスのボタニックガーデンのいいところは、カンガルーが至る所にいて、あいつらどうしでじゃれ合ってるのがわかるんだ。
ワイルドなカンガルーもコアラももうたくさん見たよ。
バッパーのプールサイドでのんびりしたり、図書館で勉強したりする日々。
毎日が同じ様で刺激がなくなってくる、旅の中にいるのに。