ロンドンが呼んでる
イギリスへ飛んでから先の事なんててんで見えてなかった。
でも確実に運命は俺をそっちに導いていた。
喜びの溢れる方向へ顔を向けて、においをかいで、たまに振り向いて、ゆっくりでいい。
全く無理な事なんてないんだから、ゼロじゃない。
やっぱりこれは夢だったのかもしれない。
「100%勇気」で、ぶっ飛んでくるってんで、ロンドンに飛んでく為に成田空港へ向かった。
胸はドキドキしていたし、どこまで跳ねれるのかもわからなかった。
二度と戻って来ない「一瞬」にかけてる。
成田空港でバックパック背負いながら、はらはらわくわくしてたのを覚えてる。
飛行機の窓に雨粒が垂れる。
いつ戻ってくるのか分かったもんじゃない。
体は、心は、脳みそは、俺のバックに背負っているもんもまだ離れていなくて、意志も留まってくれてる。
どこにもいってない、俺はここにいる。
高速で動いていても感じる、向かうべき道に光は射してるって言い聞かせてないとやってられない。
国を越える時、いつもバンドでステージに立つ前くらいに興奮する。
ヒースロー空港からロシアで決めたバックパッカーズホステルに向かう。
旅で鍛えた勘を頼りに電車を乗り換えて、どうやら今日泊まるホステルの最寄りの駅に着いたみたいだ。
ご飯を食べに行くついでに、街の中心まで歩いてみようと思う。
道路脇の電話ボックスの横を二階建てのロンドンバスが通っていく。
僕はまず宿の近くの「ビートルズ」のジャケットで有名なアビイ・ロードに行ってみることにした。
二階建てのロンドンバスが目の前を通り過ぎてゆく。
赤い車体、楽しそうな観光客を乗せて今日も走ってる。
ロンドン塔の隣にはテムズ川が流れていて、橋の上からそいつを見てた。
僕はいつの間にか大英博物館の前に来ている。
頭上にユニオンジャックが揺れていた。
外に出て、ピカデリーサーカスの近くを歩いて回ってみた。
行楽シーズンのロンドンはどこを歩いても人だらけ。
ランドマークのエロス像周辺に溢れている人達。
コヴェントガーデンまで来た。
やたらと機材を持ったバスカーが奏でるミュージック。
抜けるような夏の青い空、ロンドンにはテムズ川が流れる。
「ピーターパン」も昔は飛んでいた橋の上から船が行きかうのを見ている。
ブロンドのお姉ちゃんの大きな背中を見ながらロンドンブリッジを渡り、橋の上からテムズ川を眺めよう。
サングラスに映った白い雲。
シティクルーズが川を渡っていく、僕にはなんにもできないのかもしれない。
僕は風みたいなもんで、誰も僕を気に留める者はいない。
知っている人が誰も居ないユニオンジャックがはためく街に来ていた。
この全ての旅には意味があったってことを、それをただただ信じていたい。
宿に戻って狭い小さなベッドで微かな安らぎと共に眠ろう。
希望を胸にそっとしまってる。
落とさないように、零さないように、盗まれないようにそっとしてる。
朝起きたらUK第二の街、バーミンガムへ。