旅の中の休息、アドリア海を眺めている
僕はもうひと眠りしようと椅子にもたれる。
アドリア海上で穏やかな朝を迎えた。
僕はイタリアの旅を終え、海を挟んだ隣国アルバニアに向かっていた。
船はバルカン半島に刻一刻と近づいてゆく。
僕はこの旅に出てもう何度も水平線を見てる。
どれだけ見ても気持ちがいいもんだ。
アドリア海より、空の方が青かった。
僕の辿ってきた道も、この泡のようにぶくぶくっと薄まって消えてってしまう。
アルバニアの国旗はかっこいい。
黒い強そうな鳥のマークにバックは真っ赤な塩梅だ。
さて、まずは宿まで街を探検しながら歩こう。
ここも事前に手配は済んでいた、どうやら住み込みで働けるらしい。
メインストリートを歩くとドゥラスのグレートモスクが現れた、その正面には綺麗に整ったスクウェアが広がっていて、シティホールに面していた。
爽やかな港町の中心地って言う感じだ。
俺が今回お世話になるバックパッカーズハウスもスクウェアに面していた。
ずいぶん気持ちのいい所にあるもんだ。
俺の他にカナダからの物静かな青年と、アイルランドからの陽気な青年がいた。
バッパーの中も広くて、バーがあってフロントがあって、大きなリビングもあった。
俺達は仲良くやってた。
3人一緒の部屋で、布団が積まれていた2段ベッドを片付けて、即席で眠れるベッドを作った。
俺は旅人、どこでも寝られるし、何だって良かった。
気候も春めいて来ているし、のんびり過ごすにはいい所だ。
いくつか夜を越えて、晴れた日には海まで散歩したりしてのんびり過ごした。
ここは夏になるとリゾートみたいになるらしい。
まだ春先、町は静かだ。
マーティンと何度か近くのバーに飲みに行った、あいつはジョークが好きで、ユーモアのセンスを磨きたいみたいで、いつも小さいメモを持ってて何か面白い事があると書き記していた。
アルバニアは物価が安くて気軽に過ごせた。
コーヒーとか、一杯150円くらいじゃなかったかな。
空は快晴、海も真っ青。
僕はいつでも行きたい所に行けそうな気がしていた。
春の気候がそうさせるのか、展望台から見る水平線は境目がぼやけて見えた。