僕の好きな街、運河そして自転車
辺りはまだ闇の中、電車は動いてるんだろうか。
ずっと緊張感あったんだ。
瞬間を生きてるって奴。
オランダ。
一瞬ベルギー、フランス、イタリア、バチカン。
WOWっていう比較的安いバックパッカーズホテルをネットで見つけてとりあえず泊まりに行くことにした。
すぐにはチェックインできなかったからそこの周りを歩き回った。
幸い近くにレンブラント公園があったので気晴らしに散歩。
運河に架かる橋の上、小さな岩の畳の上を歩いていた。
小さな街なんだよアムステルダムって。
群がる群衆にはぐれないように歩く。
みんな冬服着てる年の瀬、季節はいつの間にか冬。
新しい国、人々は慌ただしく街を歩く。
アムステルダムの街は運河と自転車と石畳を包み込む。
トラムを追いかけて街を歩いた。
イルマさんだ。
この人にはめっちゃお世話になる。
そうだ、俺が住み込みで働けるところを探してた時、連絡をくれた。
まずはお家にいらっしゃいって受け入れてくれた。
旅を続けてると落ち着いて生活がしたくなってくる。
しっかり手続きさえしていれば日本人はオランダで働ける。
イルマの家にはもう一人イタリアンのピエーロが住んでいて、こいつも俺と年近くていい奴だったなぁ。
たまに一緒にベランダのソファに座ってコーヒー飲んで話したなぁ。
暖かい家だったぜ。
それでも俺は働きたかったから銀行へ行ってイルマの住所で口座を開設、住民登録所にも連れてってもらった。
その後はレストラン街をノックして回る。
直談判だ。
仕事くれ、働くぜ。
履歴書を渡して回る。
それと同時に観光も、クリスマスにはイルマの家でみんなでパーティーをやって楽しく過ごせた。
俺はちゃっかりサンタの帽子を仕込んでる。
仕事が見つかるまでは広場でバスキングをして少し稼いで、手から血出してバキバキになってたけど、それが痛気持ち良かった。
結局俺がバスキングした町はオーストラリアと、UKとアムステルダム、そんな感じ。
年末年始はそりゃすごいことになった。
イルマの家に泊まりに来たフランスの若い兄ちゃん達と街に出てカウントダウンの花火を一緒に見た。
最高にラブリーでピースフルだった。
ずっとこの時期の事は好きだと思う。
新しく年が明けて新しい旅が始まる。
アムステルダムの生活は充実してたし、ちょっとずつまた資金も溜まっていった。
マイナスが極力ない生活ってのは安心する。
働いてたオランダのフィッシュバーにはたくさんの従業員がいて、俺はキッチンハンドとっていうか、ほぼほぼ洗い物。
あんなインターナショナルな職場でよく俺働けたよな、マジ奇跡。
従業員は50人くらい様々な国の人達いたけど、日本人はいなかった。
料理長のイヴォはとっても理解のある人だった。
ジェットコースターみたいな人生だ。
たまの休みの時に公園とか、ミュージアムとかに行ってたんだよね。
イルマにヒッピーが住むやばそうな所にも連れってってもらったなー、俺も車運転したりして。
地面が低くて平らなんだオランダは、だからみんな自転車こいでる。
なんにもなくても心が満ちてれば幸せなのにね。
アムステルダムはとにかく自転車とバイクの多い街。
トラムもあって、運河には船が行き来して、街が生きてるって感じてた。
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