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ガンジス河で太陽礼拝を

インドに入ってもあまり変わらない印象を受けた。
国境の町だからだろうか。
顔もネパール人と似ているし、僕にはさっぱり区別がつかない。
言葉だって最初っからわからないし、雰囲気も似ている。

「ヴァラナシヴァラナシ」と言って首をかしげていたら、「君はネパール人?」と聞かれるので、「YES」と言ってまた首をかしげる。
目を見あって、向こうの人が笑う。
そう、俺は日本人だよって感じではにかむ。
あっちも察して笑う。
そんなんで、何とか人に導かれてヴァラナシまでのバスに乗れたんだ。

陽も沈みそうな頃、ようやくバスがヴァラナシに着いた。

頭にカラフルなハチマキを巻いた自転車のおっさんを捕まえてと言うか、捕まえられて街に向かってもらった。

僕はマップ通りに細い道を通ってバッパーを目指した。
きっと日本人誰かしらいるだろう。
汚い路地裏は牛の糞とかゴミだらけで足の踏み場に困った。
なんなら牛の寝床になっている。
インドでは牛は「神様」だから誰もが大切に扱う。
でも、臭い。
僕は迷路のような裏路地を経て宿に着きチェックインをした。

ガンジス川が見たくて歩いて出掛けた。

何かが少し変わりそうだ。
おっさん達も犬もばたばた商売をしている。
この国には落ち着きってもんがない。
ずっとスイッチオンだ。

ガンジス川沿いをゆるい風が吹いていく。
トルコ、ネパールと良い時を過ごした。

沐浴のやり方はそこらにいるおっさんに聞いて一緒にやった。
ゴーグルもしていたから、絶対に目に水が入らないようにして頭まで潜った。
そして太陽に向かって拝む、「太陽礼拝」のやり方を教えてもらった。

上半身裸の髪の毛ぼさぼさの男が階段の所で瞑想しているのか、もう人生を諦めたのか目を瞑って動かないでいた。
その脇では、座り込んでいる牛の額に赤い丸を付けてなにやらまぶしだすインドの人達。
気付けばその周りを囲むようにして数人で回りだした。
何かのお祈りをしているみたいだ。

ガンジス川を望む階段の上で何か儀式が始まる。
5人組のかっこいいインディアン達がお立ち台に登って川に祈りを捧げだした。

川の風に乗って流れていく煙。
川にもボートがいっぱいで、それを見ている人々がいた。
ロン毛のイケメンインディアンが手を顔の前に持ってきて煙を夜風に乗せる。
「ふわー」っと夜の中にそいつは漂っていく。

どうやらこれが「プジャ」という儀式らしい。
ボートに乗った時に出会ったインド人の家族と偶然居合わせたので一緒にプジャを見ることにした。

今日もガンジス川に入っている地元の人々。
額に朱色の模様を付けて、僕は地元の人気取りでボートに乗る。

ガンジス川の反対岸には特に何もない。
一つの朝があるだけだ。

川の上流下流には火葬場があって、死体は焼かれて骨は川に流される。
死体も重りを付けて川の真ん中で流される。
川底にはたくさんの死体が沈んでいるとの事だ。
噂で聞いた聖なる川のお話。

この街の人口密集度は尋常じゃない。
ガンジスは今日も生きている。
プジャが行われていたステージに座り込んで楽しそうにしている地元の人々。
今夜もイケメン達は何かをお祈りするんだろうか。
歴史を感じる街で牛が路地裏を闊歩する。
牛の臭そうなおしりを何度も見た。
こうなるともうおとなしい住人だ。
僕等は街の火葬場まで見学に行くことにした。

夜が来て、また街を出ていく朝が来る。
自転車のおじさんを捕まえてって言うか、捕まえられて駅まで。

ヴァラナシ駅から、カンプールという街へ。
そこに俺を泊めてくれる男、ケタンは住んでいる。

くたくたの電車のイスに腰を下ろし、汗ばむ体に開け放った窓から風が吹き込む。
チャイを売りに来る売り子。
窓の外に広がる荒野。
何があるってわけでもない土地が広がっていた。
4人座りボックスに寝そべるインドの若者。
僕は次の街カンプールへ向かっていた。

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