冷静と情熱の間って言う映画を見たことがある
僕は一路、ローマからフィレンツェへ向かう。
フィレンツェに着いてから、駅からアルノ川まで歩いてみた。
もちろんドゥォーモにも歩いて行った。
この街は全体的にレンガの濃いこげ茶色の色をしてる。
屋根は薄くて空は青くて美しい。
カフェの中ではイタリアンのいきいきとした声が飛び交う。
俺はコーヒーに砂糖を混ぜる。
古いカフェで雨宿り。
この街みたいに落ち着いた雰囲気醸し出したいなぁ。
僕等は陽が暮れる前に落ち合った。
マリアさんは俺よりちょっとだけ年上で、綺麗な人だった。
小さな路地の裏の小さなドアの奥の、小さな階段を登った古いビルディングの一室にマリアの家はあった。
窓からはフィレンツェのドゥォーモが見えるんだ。
「お邪魔します」してから一緒にコーヒーを飲んで窓越しに薄いレンガの色した街並みを眺めてる。
お洒落な小物とかが置いてあるキッチン。
植物が置いてあるロフト、このこじんまりした感じがイタリアの人の生活なのかなぁと思うとローカルの人と友達になるってのはとてもいいもんだと思った。
マリアはその間、どこかに出掛けるみたいだった。
「夜に映画を友達と観に行くから、あなたも来ない?」って誘われたから、「具合がよくなったら行くよ」って言って、フィレンツェの女の人の家で一人で寝てた。
飯も一人で食べるより、イタリアンなみんなで食った方がよっぽど旨いし、イタリアで映画ってなんて粋なのって感じじゃん。
雨上がりのフィレンツェも最高でさ、ライトアップされた街明かりが濡れた路面に反射して輝いて見えた。
夜はこれから始まる、ナイトイズヤング。
シアターの中にはもうたくさん人がいて、頭の禿げてるおっさんの後ろの席に座ってみんなで見た。
シアターに司会者が現れて何かムービーの説明が始まった。
その映画は古い白黒の「無声映画」でイタリアにいるのに、フランスの映画だった。
それから、みんなバーに行くっていうから俺も体調ばっちりになってたから、一緒に飲みに行くことにした。
ヨーロッパって古い建物多いから内装も渋いんだよね。
ドラムがジャジーに刻んで合わしてる管楽器の音。
テーブルライトに照らされてるドラマー。
最高のアンサンブルを奏でてるバンドをおかずに、みんなで話しながら2杯は飲んだ。
いい感じに酔っぱらって音楽も聴けてる、いい夜だ。
またドゥォーモを観に行ったよ。
そうだよここがあの、『冷静と情熱の間』の舞台にもなった大聖堂。
シニョリーア広場でみた戦士っぽい石像が倒れている男を抱えてるポーズのがあるんだけど、その倒れてる奴裸で、ぽこちん丸出しじゃん。
フィレンツェの街は美しすぎる。
今日はアルノ川を探索に行こう。
橋中腹のメインの銅像の周りを囲んでる柵に南京錠が付きまくってる。
教会のベンチに座って一休み。
一呼吸入れて、また違うサイクルで違う呼吸で歩いた。
『冷静と情熱の間』のメイン舞台、ドゥォーモを登ろう。
内側から登ってく、細い通路細い階段。
映画で見た様に美しい景色を観たい。
茶色い街、遠くに山並み。
岩と岩の間から射す光。
なんて美しい街。
なんか歌が聞こえてきそうだ。
鐘も鳴ってる。
マリアの家の窓から見る景色が好き。
屋根の上に煙突がある。
ちょっと草も生えてる。
イタリアの春。
すかっと晴れた空の下、次に向かうはボローニャ。
イタリアからの出方も、まだわからない。
アルバニアには行こうとしていた。
船を調べるのはサムの家、サムと会ってからだ。
そう、サムに聞こうそういう事は。
いずれわかることもある。