最高のタイミングで台湾一周してる
高雄も屏東も経て、今俺は高雄のバスターミナルにいる。
ここから向かうのは墾丁っていう台湾の最南端に位置するリゾートだ。
こっから先の事なんて全く空っぽ。
白紙、もちろん泊まる宿なんて取ってない。
とにかく行くのみ、文字通り行くだけ。
その先どんなに困ったことがあろうとそんなことは問題じゃない。
どうにだってなるし、どうにだって出来るはずだって勢いをこの頃持ってた。
「君達はどこに行くの。僕は墾丁に行きたいんだ、海を見たいんだよ」
一人から一気に旅のパーティーが増えた。
カナダのDJとそのタイワニーズの彼女そして、セクシーなアメリカンギャル。
墾丁の海は超綺麗でさ、初日は案外小さな浜だったんだけど、それでも十分楽しめたし、日にも焼けて気持ち良かった。
もうその日の夕暮れが僕等の影を伸ばしていて、一切の不安なんて、この時はその日の宿の事だけど、なくってっていうか考える暇もない程に充実していて、マジで最高のタイミングで台湾に来てんだなって感じだった。
あのバスで会った三人組とは、墾丁の道路の上で別れた。
こっからまた深い夜の話になっていくんだけど、ビッキーの大学の友達の婆ちゃん家でBBQ、車で田舎の道を走ってってたどり着いた。
近くのスーパーで買った食材持ち込んで、ビールもがっつり飲みこんで宴はいつの間にかスタートしていた。
あぁ、こんなローカルな体験ってもう二度と出来るもんじゃない。
この価値は値段なんて付かない。
お金じゃ買えない経験している。
たくさんの人と出会い、別れ、また再会する。
眠くなった順に二階の部屋で雑魚寝出来たから、俺もいい具合の時に眠った。
ほら、宿とってなくて良かったっしょ。
墾丁の宿なんてあの時期どこも満室で入れなかったと思う。
ニカと、ヴィッキーとジェロームと僕の四人で近くの旨いと言われている飯屋に朝飯を食べに出掛けた。
それからニカの運転で墾丁へ、昨日のBBQのメンバーとも合流して、海辺でリラックス。
可愛い子達の水着が近くて、少しあいつらと行く白浜を思い出した。
少しして僕等はBBQ組とは別れて別の浜へサーフィンをやりに出かけた。
簡易シャワーで砂や、しおっけを落とした後、僕等は車でまたドライブで台湾最南端の岬へ行く。
日が暮れかかっているけど、黄昏てる暇もない程に楽しんでいる。
あの時見た海の向こうは遠く今度はフィリピンまで続いているんだろうか。
夕暮れに照らされている僕の頬を風がさすっていく。
あっと言う間に日は暮れて、夜のとばりが落ちる。
一日を体感するのは、やっぱり一日かかる。
僕はまた、こうして思い出の中を旅しているのかもしれない。
ファインダー越しに乱反射する信号の光が眩しい。
僕等は墾丁の夜市にいた。
墾丁の夜は更ける。
僕らもそろそろ帰る時間。
彼らは台南に帰る。
僕は何も決めていない。
ただ行くところは次の街、台東。
そこまで出ている電車ももうない。
ビッキー達が僕を高雄まで送ってってくれるみたいだ。
僕を送ってくれた台湾の友達にお別れを言い、僕等は別れた。
その後、ニカは、その時の彼女と結婚したらしい。
ヴィッキーとジェロームは今でも付き合っているみたいだ。
この夏の話が出るかどうかはわからないけれど、僕は遠くから嬉しく思っている。
そんな幸せが届いているのか、夢の中。
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