見出し画像

配信1ヶ月で認知と獲得が2倍。スタートアップがタクシーCMを制作する際の注意点

おはようございます。

SUPER STUDIO COOの花岡です。

プレスリリースにもあった通り、6月より法人向けECプラットフォーム「ecforce」のタクシーサイネージへの広告配信が開始されています。

SUPER STUDIO初の大型予算での広告配信になるため、社内ではビッグプロジェクトとしてメンバー一同、緊張感をもって進行してまいりました。

スクリーンショット 2021-07-13 13.59.19

結果、ありがたいことに大きな反響をいただいており、配信1ヶ月で認知度もリードも2倍以上に増加しております。

いろんな企業の実績を聞いていると配信から効果が出るまで本来は結構なタイムラグがあるようなので、配信1ヶ月でこの数字が出ているのは非常に良い結果なのではないかなと考えております。さらなる伸びが期待できます。


このCM制作にはSUPER STUDIOのメンバーだけでなく、たくさんのパートナー企業も関わっており、僕たちだけではこのアウトプットは出せなかったと確信しています。

このnoteでは、CMの制作の裏側を赤裸々に語れればと思います。

僕自身、常にマーケター脳で仕事はしているつもりですが、スタートアップ企業がタクシーCMを制作するときにやってしまいがちな落とし穴的なことにも気づきがありましたので、そういった内容についても発信できればと思います。

これからタクシーサイネージに広告を出稿されるスタートアップ/ベンチャー企業の方々の参考に少しでもなれば幸いです。


なぜタクシーサイネージをやったのか

キッカケはそこまで深みがあるわけではなく、タクシーサイネージはスタートアップ企業が大きな予算を投下して行う広告の登竜門的な位置づけとなっているので、とりあえずやっていこうという話になりました。


ご想像の通り、タクシーサイネージの配信先にいる「人」の割合の多くは、ビジネスパーソンであり、比較的、経営者層や企業の中でも役職持ちの方々が多いです。

一定の意思決定権を持っている可能性があるビジネスパーソンに広告を配信できるため、BtoB系のサービスとの相性が良いということは論理的に考えればすぐに想像がつくかと思います。

ただ、弊社はバックオフィス系のサービスとは異なり、ECのサービスですので、全ての法人がターゲットというわけではなく、ECをやっている、もしくはECを立ち上げようとしている法人がターゲットになるため、同等の効果が得られるのかは不透明だと解釈していましたが、そこは割り切って挑戦する意思決定を行いました。


心強いパートナーたちの存在

SUPER STUDIOにはD2Cブランドを運営しているためデジタルマーケティングに関するナレッジは多数ありますが、マスマーケティングの経験者が一人もいませんでした。

この日のためにSUPER STUDIOはクリエイティブ観点でNEWSと組ませていただいています。これからマスマーケティングを実施していく上では、NEWS 代表取締役の梅田さんの協力は必要不可欠でした。


また、もうひとりの心強いパートナーとして絶大な信頼をおいているユニリーバ・ジャパンでラックスやダヴの統括をしていた木村元さんに参画していただき、マーケティングのインサイトを深ぼるための陣頭指揮を取ってもらうことになりました。


ただ、SUPER STUDIOの文化として、外部のパートナーがいたとしても自分たちの納得いくものをアウトプットするというこだわりが強いため、最初は経営陣×NEWS×木村という座組で進んでいたのですが、気づけば弊社のecforceのグループマネージャーが全員参画するというビッグプロジェクトに発展していました。笑


それぞれの担っているロールから見えている内部の観点、外部だからこそ見える観点、そういったものをすり合わせる激しいディスカッションがはじまりました。



サイエンスとアートを融合させるための激しい議論

大枠の進め方として、ターゲット顧客やecforceが伝えたいブランドイメージなどの要件をSUPER STUDIO内で整理し、梅田さんがクリエイティブ案を持ってきて、それについてディスカッションするという流れでした。


梅田さんが持ってきてくれるクリエイティブ案はどれも面白いものばかりで、一見どれもよく見えてしまいます。


しかし、はじめに決めた要件さえも議論をしていくにつれて、「本当にそれが顧客のインサイトをつけているのか」ということに全員が疑問を持ち出し、議論がぐるぐる回りだします。


ワード選定1つとっても膨大な議論がかわされました。

SUPER STUDIOの中でも、それぞれの業務範囲でそれぞれの視野があります。現場に近ければ近いほど、ものすごくスコープの狭いワードが上がってくるし、現場から離れれば離れるほど抽象度の高いワードが上がってきます。

内部の視野だけでもぶつかるのに、外部の客観的な話まで入ってくるとお互いが「そうじゃないんだよねー。」「何言ってるかわからない。結局それってどういうこと?」みたいな議論が頻発し、ヒートアップしていくような会が何度も行われました。


この激しい議論を内部・外部から重ねることで、EC業界では最前線を走っている、いわゆるECオタクであるSUPER STUDIOの常識と、世の中の常識を全く違うことに改めて気付かされました。

例えば、僕たちは日常的にEFOとかLTVとか言ってますが、これって業界人には通じるけど、これからECをやろうとしていたり、これからECに力を入れようとしている企業様にとってはあまり浸透していない表現だということに気付かされました。

こういった事を、様々な観点で何度も何度もミーティングを重ね実施していくことで、徐々にインサイトに近づいていきました。


表現したいこと、ワードが洗練されれば今度はクリエイティブでそれをどのように表現するかを詰めていく必要があります。

梅田さんにはインサイトが読み切れていない段階から数えると二桁回いくんじゃないかというぐらいのリテイクをお願いし、最後には誰もが納得する完璧なクリエイティブを提案していただきました。


この仕事を通して確信したことは、結果を最大化するためには

サイエンス(顧客のインサイトを読み切り、CVRや認知獲得を意識したワード選定)

アート(伝えたいことをわかりやすく、インパクトを持ってクリエイティブで表現)

の融合

が必要不可欠なんだと改めて学びました。

妥協のないプロフェッショナルな仕事をしたからこそ、マーケティングの数字においても素晴らしい結果が出ているのだと思います。



CM制作でスタートアップが陥りそうな罠

上記にも記載している通り、SUPER STUDIOはマスマーケティング経験者不在の中でのCM制作に挑戦したわけですが、結果としてマスマーケティングをガチガチに経験している木村さんや梅田さんの参画のおかげで素晴らしいものになったと思います。

しかし、僕もマーケティングに関わる仕事を経験してきていますが、CM制作のミーティングはその中でもすごく特殊だと感じました。特殊だからこそ陥ってしまう罠があるんだろうなとも強く思いました。


何が特殊かというと、CM制作のミーティングはやたらとおもしろい。


かなり、仕事の中でも特殊なミーティングだなぁと思いました。

梅田さんの提案する企画は、真面目な会議なのにマジで笑ってしまいます。

特にリモート会議なので、プレゼンしている梅田さん以外がミュートで爆笑しているというシュールな絵になっていました。笑


それだけ企画が面白いし、わかりやすさもありました。

具体例でいうと、ECの売上が伸びているというシーンを若干面白みのある俳優さんの髪の毛が見るたびに縦に伸びていくというシュールなものでした。(ハンターハンターのゴンさんのイメージ)


テキストにすると遊んでいるように思えてしまうのですが、全然レベルの低い話をしているわけではなく、売上が伸びるということをわかりやすく表現している、インパクトで視聴者の記憶に残るといった観点では、素晴らしい企画でした。


大枠、それで進みましょうとなりかけていたのですが、木村さんが「インサイトにたどり着けていない」と一刀両断。


再度、インサイトの深堀りからやり直すという流れになりました。

笑っていた参画者全員が固まりました。笑


結果的により洗練され、素晴らしいアウトプットになったと思うのですが、陥りそうな罠というのは正解がないからこそ、「わかりやすい、おもしろい」という勢いでクリエイティブを決めてしまいがちだということです。


正解がないからこそ、経験者の提案がサラッと通ってしまう世界だとも思いますし、半ばトップダウンの好き嫌いでも決まってしまうこともあると思います。

ただ、マーケター脳をもったメンバーが常にそれで良いのかと疑いを持ち、インサイトを深堀り、お互い妥協しない激しいディスカッションを繰り返すことがスタートアップがCM制作で失敗しないプロセスなんだと体感しました。



ecforceのCM制作チームがたどり着いたインサイト

上記のプロセスで議論した結果、僕たちが気づいたことは

「ECの売上を上げるための手段にカートシステムを変えるという認識が業界にない」

ということでした。


ECを展開しているメーカーの一番大きな共通認識は、当然売上を伸ばしたいというところにあると思います。

ECがあまりうまくいっていないメーカーほど、ECの売上を上げるための有効な手段としてマーケティングの強化を考えます。

広告配信する媒体を増やしたり、販路の数を増やしたりする方々がいます。

しかし、このデジタルネイティブな時代では、「ECの売上を伸ばすための手段がカートシステムを変えることにある。」ということが業界に浸透しておらず、目からウロコなんだということに気付かされました。


というのも、ECにあまり詳しくない方々にとってカートシステムというのは、ただの箱だと思われています。


箱を変えて、売上が上がる?そんなわけないという認識です。

確かにワードだけ聞くと論理飛躍もありますし、わかりづらいと思います。


ただ、デジタルネイティブでブランドを立ち上げ、売上を伸ばしている企業からするとこれは常識です。


デジタル時代において、カートシステムはただの箱ではありません。

最適化されていないカートシステムを使ってデジタルマーケティングに膨大な予算を投下するということは、穴の空いたバケツに水を注いでいるのと同じ行為です。

それぐらい売上やLTVといったブランド事業のPLの根幹となる最重要KPIにカートシステムはインパクトがあります。


カートシステムがただの箱なのであれば、もちろん安価なものを使えばいいのですが、デジタルマーケティングにおいてカートシステムはマーケティングの一部だと明確に言えます。


ブランドメーカーを運営している方々なら常識かと思いますが、ブランド事業のPLにおける最もインパクトの大きい要素はマーケティングコストです。このマーケティングコストをカートシステムを変えることで、仮に20%改善できたらどれだけの事業インパクトが出るかは簡単に想像がつくと思います。

また、CPAが20%改善したら売上が20%向上ではなく、LTVとCPAの関係があえば広告予算をさらに投下していき、売上を飛躍的に引き上げていくこともできます。


今回のCMでは、なぜマーケティングコストにインパクトが出るのかということが、サブリミナル的に表現されています。


また、デジタルネイティブにブランド運営をしていると顧客のLTVがいくらで、CPAがいくらで獲得できてと、数字の議論ばかりされがちです。


「顧客が実際にスマートフォンやPCで商品を購入しているから、オンラインで注文が入ってくる」という当たり前のことさえも、あまり認識できなくなります。


僕たちのサービス「ecforce」は誰が使うのか。

BtoB提供なのでecforceを使うのはブランドメーカーの方々はもちろん、広告代理店、ロジスティクスやコールセンターといったステークホルダー全般です。

ただ、絶対に忘れてはいけないのは消費者もecforceを利用するユーザです。


今回のCMではデジタルの先でユーザである消費者が、実際どういう体験をしているのかということをストーリーで表現しました。


ブランド側と消費者側の視点でインサイトを可視化する。

これがたどり着いた答えでした。



最後にCMを御覧ください!

上記で語った以外にも、本当に多くの方々が関わってくれています。

こころよく出演してくださった佐久間由衣さんにも本当に感謝ですし、実際CM撮影の現場では監督をはじめ、スタッフさんが50人以上来ていたりと、本当に多くのプロフェッショナルの方々の素晴らしい仕事によって生まれたアウトプットになっています。

これだけのプロセスを経ていろいろな方々の想いがつまったCMですので、改めて御覧ください!

※契約満了によりCM動画は削除させていただきました。


今後とも、ecforceをよろしくお願いいたします。

SUPER STUDIOではタクシーサイネージをはじめ、大型資金を投下し、オンラインからオフラインまで幅広くマーケティング活動を行ってまいります。

常に顧客のインサイトをついたクリエイティブを創造し、データによって効果を検証し、高速PDCAを実施していくデータドリブンなマーケティング施策を一緒に実施していけるメンバーを絶賛募集しています!

SUPER STUDIOの特徴としてSaaSである「ecforce」のBtoBマーケティングからD2CのBtoCマーケティングまで幅広い領域でマーケティングのお仕事があります。そして、D2CのBtoCプロモーションがそのままSaaSのBtoBプロモーションとなりシナジーを生み出すという類を見ないモデルとなっており、マーケティングとしても非常に面白いものになっていると思います。

スキルセットとしては、広告運用だったりブランド設計、クリエイティブ、ライティング等の実務経験があるメンバーを特に募集中です。


また、SUPER STUDIOでは現在、急激な成長に伴い、全職でメンバーを募集していますので、ご興味ある方はご応募お待ちしております!


今後とも、SUPER STUDIOをよろしくお願いいたします。



いいなと思ったら応援しよう!