EXTREAMERS the beginning_#05
女の子のキャラクター開発は当時中学生だった娘に発注しました、とても良かったのでそのままのイメージで進めました。笑
EXTREAMERS 2.63 I.N.A.N.N.A
I.N.A.N.N.A イナンナは正常、
テラ・アキレス博士は I.N.A.N.N.A イナンナのログをチェックし自己診断シークエンスの報告を見ていた。ふむ、すべての状況変数データをここへ、グラフで。差異評価、特異点検出。音声コマンドを受けて目の前に何百ものグラフが展開しては消えてゆく、そしてたった2つのグラフが残った。
サブルーチンドグマ占有グラフとヴァーチャルマシン内気圧変化グラフ。
タイムラインで評価してみてくれないか? 2つの時点でグラフには断層のような不連続な変化が起っていた、まるで別なグラフからカット&ペーストされたような異常な形。
いったい何が起った、I.N.A.N.N.A イナンナ。
I.N.A.N.N.A イナンナ、表現系をペルソナに。
音声コマンドを受けてグラフも照明も消え闇が生まれた。
イナナオルドシミラナ、古代シュメール語で “イナンナは微笑んでいるか?”
テラ・アキレス博士がそう言うと白い衣を纏った美しいコーカサス系の女性の姿が現れた。
数値では読み取れない変数のわずかな変化を表情、仕草、態度、発音、言語などの人間的な状態変化に置き換え評価するためのペルソナモードである。
イナンナは微笑んでいます。アキレス、私を呼びましたか?
いつも子供たちをありがとう、イナンナ。
礼を言うには及びませんわ、アキレス。私は過保護ではありませんか?
君は過保護ではないよ?イナンナ。
どうしたのかな?君らしくないね。
会話の中で、アキレス博士はイナンナの変化をボディランゲージから読み取る。
イナンナ、君に聞きたいことがある。先ほどのテストのなかでサブルーチンドグマ占有グラフとヴァーチャルマシン内気圧変化グラフの途中に特異点があるのだが、その原因が知りたい。そしてパイロットの変化と6秒間の空白。いったい何があった?
イナンナは宙をみつめる、そして長い沈黙のあとかわいらしくちいさなあくびをした。
アキレス、私は夢を見ているのでしょうか?
夢?とは、
あなたの言うその2つの時点のわたしの意識は希薄です、
そして不連続で論理的ではないのです。
もしプログラムのバグなら、おねがいです削除してください。
ごめんなさいアキレス、私はなんだか眠い。
お願いですアキレス、私を寝かせて。
また会いにくるよ、イナンナ。
二ンシミラルニナナ、“イナンナの微笑のうちに”
イナンナのペルソナがゆっくりと闇に溶ける、
アキレス博士はイナンナとの対話を整理するために思考をする。
アキレス博士、パイロットのアフターサンプリングを始めます。
ナノからのメールが、ブラウザの隅に点滅していた。
(つづく)20220325
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
EXTREAMERS 2.64 ナノマシンの記憶
コントロールルームの奥にあるサンプリングコクーンは3機、
ダイ、セイヤ、レオナがそれぞれ今日体験してきたことをカメラに報告している。
同時にコクーン全体が身体と意識の深層記憶をサンプリング。
瞬足/LMXの素材に使われているナノマシンの群体メモリーからもパイロットたちとのシンクロデーターが集められている。
データーコンソールでモニターしながらナノは子供たちの報告に驚きをつとめて顔に出さないようにしていた。
あおい、まどか、ゆいの3人はコクーン前のソファで着替立ての新しいウエアについてにぎやかだ。
ナノは論理的な結論を求めようとしていたが、6人の子供たちと彼らの瞬足/LMXからのサンプルデーターは、ナノの論理の地平の外にあった。
テスト時間11分52秒、子供たちの体験時間5時間7分。
テストパイロット女子3名、
テスト終了時テストパイロット同女子3名、男子3名。
黒い岩盤、迷路に迷った女の子チーム、助けにいった男の子チーム、再び押し寄せる黒い岩盤、マトリックスボールのアラート、海、人魚の塔、黒い服のイナンナ、時間の止まったコントロールルームとナノ、アキレス博士、知らないキャップをかぶったゆい、5時間進んでいる時計。
あの、、、。ナノ博士ー、まどかが立っている、
今日のブラウスの模様に小さな青い三角形ついてたのに、、、あ、そうじゃなくて、ママに電話していいですか?
セイヤの報告をモニターしていたナノは反射的に答えた。
ウエイティングラウンジつかって、あそこはシールド外だから、、、。
ありがとうございます!
女の子たちは我さきに小走りでウエイティングラウンジへ駆け込む。
データサンプリング終了
ハーイ!ありがとう3人とも終了でーす。
ナノマシンのデータを評価にかける。
ふう、たいへんだ、これから、、、。小さな声でつぶやく。
ナノ。見上げるとアキレス博士が硬い表情で笑顔をつくっている。
男の子たちが出てくる。
あれ、女の子たちは?
ナノさん、質問があるんですけど、、、。レオナがやってくる。
オレも電話しよっと、、、。
ダイとセイヤがウエイティングラウンジへ歩いてゆく。
ドアが開く、中からは2人の女の子の泣き声と、興奮したあおいの早口の話し声が飛び出した。
(つづく)20220325