「音楽を仕事にすること」
音楽を仕事にしたいという人は多いけれど
じゃぁ、
「仕事と趣味の違いってなんなの?」
と言うのを考えてみた。
仕事って何?まぁ、ここでいう意味はいわゆる生業。
「お金を稼ぐこと」「生計を立てること」
だとすると、
「お金を払う人」がいて、「お金をもらう人」がいて、成り立つ話。
それが趣味であれば、お金をもらう必要が無いので、自分一人で好きなようにやればいい。
もし、それ(趣味)でも「人気者になりたい」と思うのであれば、それは
「承認欲求」
が強いかそうでないかの違い。
生業にするという事は、何事であれ、それだけ「責任」が生じるという事である。
逆に、お金をもらわずして「良いもの」だけを多くの人に届けたいとなれば、それは「ボランティア」である。
その音楽にお金を払う人がいる以上、最低その金額以上の満足度を提供する必要がある。
そして、「良いものを創ろう」と思うと、それだけお金がかかるし、その分の「支払い」が生じる。
CD一つ、ライブイベント一つ、テレビなどの番組一つ・・・オムライス屋さんだって同じことである。
良い肉を使い、良い米を使い、よい卵を使って作れるのなら、その方が良いに決まっている。
ただ、じゃぁその分の「儲け」があるのかないのか、
「良い物」を作ったけれど、「赤字」だったらそれは「趣味」でしかない。と言うか成り立たない。もちろん、金さえ出せばよいものができるという単純な話でもないことは、言うまでもない。
肉屋には肉屋の責任、米屋には米屋の責任、玉子屋には玉子屋の責任、そしてオムライス屋さんにはオムライス屋さんの責任があって
それぞれのプロ意識と、お金の問題、そしてお客さんの満足度が複雑に絡み合って、その「商売」と言うのが成り立っていく。
さて、話を音楽に戻す。
「音楽を仕事にする。」
とはどういうことか。
結局は、その責任を果たすという事である。
「良い音楽をする」
だけでは、果たせないことがたくさんあって、事が大きくなればなるほど
「その責任は大きくなる」
それらのものを背負う覚悟があるか否か。
CDを創って売る。イベントを開催する。
レコーディング費(まつわる楽器担当から、アレンジ、録音、ミックス、ジャケットデザイン、全て)リハーサル費(まつわる人件費、スタジオ代)、会場費、機材費、人件費、印刷物、グッズ製作費、宣伝費・・・
多分まだまだあると思うが
それらのものを、きちんとペイした上で、どれだけのもの(お金)が残るのか。
そして、それだけたくさんの人を巻き込んでおいて
「どれだけのもの(感動)を届けられるのか」
それが、音楽を仕事にするという事である。
その腹は、括れているか。
16年間、ライブハウスを経営してきて、さらにコロナという時代を経験した今、私が感じていることだ。
でも
ただ一つ、伝えておきたいことがある。
音楽を仕事として歩み始めた時
そして、血を吐くほど苦しい思いを乗り越えた時
その多大なる責任をきちんと果たした結果
得られるものは
金銭的な利益をはるかに超える
「仕事」だとか「生業」だとか「責任」だとか
そんなくだらない話をぶっ飛ばしてしまうほどの
「何か」
であることは間違いが無い。
2022年2月6日(日)ModernTimesひろ