ぎりぎりセーフ
帰るのが遅くなって
午後2時を回った。
最近、店に泊まることが多くなった。
微妙に上り坂になっている京都の町を
三条から鞍馬口へ向かって自転車で北上する。
堀川鞍馬口の交差点で信号待ちをしている間に
大粒の雨が降ってきた。
「もう!あともうちょっとやのに!」
そう思いながらも、あえて顔を空に向けて
「ばかやろー」
って叫んでみたら
雨がアラレだか、ヒョウだかに変わった。
「くそうっ!」
アラレは、私の顔をバシバシとしばきはじめた。
「痛いわっ」
厚く垂れこめた雲が、不安な世の中を物語っているようだった。
私はわざと
わざと、空に顔を向けて
アラレにしばかれ続けた。
そして空をにらみながら
ふと
酔っている自分に気が付いた。
「・・・アホくさ。」
しんどい時苦しい時、
不安な時どうしていいかわからない時
自分を客観視してみると
ふっと
楽になることがある。
幽体離脱ができるという得意技は
(本当にできたのは過去1回だけやけど)
なかなか有効である。
「大丈夫。」
空をにらみ続けながら
つぶやいた。
ひよこへ着くと、親父が言った。
「ぎりぎりセーフやったな♪」
「え」
まぁまぁ、濡れたけど・・・まぁ、確かに、雨アラレにあたったのは数分のことだ。
「これ、セーフなん?」
ぎりぎりセーフ、か。
「せやな。」
2020年3月6日(金)ModernTimesヒロ
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