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故兵聞拙速、未睹巧之久也。

「巧遅は拙速に如かず(拙速は巧遅に勝る、とも)」という言葉がある。完璧を求めるより、不完全でもどんどんアウトプットしていくのがよい、という感じで使われることが多い。

よく『孫子』に書かれているとか言われるけれど、原典に当たってみるとそもそも文章が違っていて。

故に兵は拙速を聞くも、未だ巧の久しきを睹ざるなり。
夫れ兵久しくして国に利ある者は、未だ之有らざるなり。

孫子:作戦篇 - Web漢文大系より

ここで論じられているのは、国家間の戦争のあり方のこと。長引くと国力が落ちたり、他国につけいられるだけなので、たとえ戦術がよくなかったとしてもさっと勝って終わらせよう、という話。

これ、そのまま会社に置き換えても同じことが言えるなあと。

長い時間かけていろいろ試すより、最速でやれることをやって、その結果次第でその先を考えていかないと、会社としての体力もつらいし、同じことをやる会社もたくさんあるだろうし、何より会社の血流、ダイナミズムが失われてしまうよなあ、と。

ちなみに「巧遅は拙速に如かず」は、科挙の受験参考書『文章軌範』に書かれている「場屋中には、日晷に限り有り、巧遅は拙速に如かず。」が原典。試験時間には限りがあるから、巧みな文書を書いて間に合わないより、多少文章がまずくても終わらせた方がよいよね、という話で。そりゃそうだね。

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