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夜の剣のマエストロと設定大盛りオーケストラ


どこかなにかで使っていただけたら幸いです。
「使ったよ」とでもコメントいただけたらありがたいです。
いつかどこかで誰かのお役に立ちますように。

男:1 女:1
もしくは、
男:1 女:1 不問:1(祐介M)

祐介(男)・・・魔物に絡まれてもマイペースな高校生
舞(女)・・・魔物を狩る家の人の高校生
祐介M(不問)・・・ナレーション



祐介(M)
夜の校舎に響く金属音。
キンッ!キィン!とテンポ良く甲高い音がこだまする。
真夜中のツルギのマエストロ。
剣の舞?ハチャトゥリアン?って音楽家いなかったっけ?

無数の異形の獣たちと対峙する女性。
その目の前にいる女性の剣の舞は美しかった。

しなやかな身のこなしに、シュッと銀色の閃光が走ったかと思うと、
さっきまで僕の命を奪おうとしていた異形の獣たちが次々と物言わぬ土塊(つちくれ)に変わっていく。

でも、制服はよろしくない。

命のやりとりをしているこの場において、その発想はいかがなものか?
いや、だが、僕も男だ。特にうちの制服は県内1・2を争う人気ブランドだ。

そのふわりと舞う制服と、銀色にはしるの剣の太刀筋と、時折見え隠れする、おおよそ全ての男子が無意識に着目する眩しい白いもののハーモニーに、僕は酔いしれてしまった。

「もう!!!どこみてるの!?」

祐介「えっ?なにが?なんのこと?」

「視線を感じる!!下半身に視線を感じるの!!!キミを護るのに精いっぱいで、恥じらいを気にする余裕がないの!もう!なんでお母さん、スパッツ全部お洗濯しちゃったの!?」

祐介「えっ?そのチラリズム今日限定なの!?ラッキー!」

「あ・な・たは、魔物に囲まれてるの!不幸なの!キミ!この魔物達を怒らせるようなことしたの?なんか、この子たち、めちゃくちゃ怒ってるんだけど?」

祐介「ええ?こんな化け物じみた化け物に絡まれる生活なんてしてないよ」

「この異変、昨日から始まってるの。なにか昨日のことで心当たりない?」

祐介「いやいや、とくには・・・あっ。」

「ん?なに?心当たりあるの?」

祐介「昨日、酔っ払いのおじさんを介抱した」

「・・・うん?」

祐介「一緒にタクシーに乗って、途中おじさんを家の前で降ろしたら、とっときなさいって、おさつもらった」

「・・・で?」

祐介「おさつの中にレシートが挟まってて、なんか難しい字がいっぱい並んでたけど、なんか封印?って書いてあったから、気味悪くてやぶって捨てた・・・あ!」

「・・・なに?」

祐介「あのおじさんの家の表札、キミの苗字と一緒だね」

「もう!お父さんのバカ!居酒屋禁止!お酒封印!」

祐介「なんだかよくわからないけどさ、レシートであんな怖い化け物封印したのってすごくない?」

「お酒の失敗もすごい自慢の残念な父です、ごめんなさい・・・つかまって」

祐介「え?」

「一度ここから離れるの。大丈夫、キミ一人なら抱えて跳躍(ちょうやく)できるから」

祐介「えっ!でも」

「なに?怖いの?」

祐介「いや、どこつかまるの?」

「腰に。大丈夫よ、早く!しっかりつかまって?」

祐介「ごほうびですか?」

「・・・早くしなさい」

祐介「僕は彼女のしなやかな腰のシルエットにうでをまわした。手のひらに収まるのは引き締まった筋肉。制服越しにも伝わる張りのある柔肌。指がわずかに沈む、なんてバランスの良い体なんだ。そして、僕の腕の上には禁断の果実が2つ、見た目にも大きいとわかるそれの正確な大きさを知りたいと、僕の欲望がうずく。」

「このケダモノ、獣と一緒に始末していいかな?」

祐介「ごめんなさい、わんわん」

祐介(M)
頬を赤らめつつも、異形の獣から目を離さない彼女。

裸眼で睨む真剣な横顔は凛(りん)としていて、普段学校でみる穏やかな表情とは裏腹。

表と裏の顔、どちらが本当の彼女なのだろう?僕は問いかけずにいられなかった。」

祐介「ねえ、委員長?委員長って、伊達メガネだったんだね?魔物を狩るものでチラリズムでツッコミ気質で巨乳でスレンダーで伊達メガネって設定盛りすぎじゃない?」

「ああもう!ツッコミがおいつかないよーお!」

祐介(M)
夜の校舎に彼女の遠吠えがこだました。


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