STEM系の修士号取得後の現地就職
アメリカのSTEM系、特にコンピュータサイエンス(CS)を修了すると、現地就職が可能だという軽々しい表現を、
たまにSNSで見かけますが、これは誤解を招く表現なので、安易に信じないでください。
本当に大事なことは、そのプログラムを終えた人、まさに修士課程で勉強しながら、現地就職を目指している人に話を聞くべきです。
なぜ、このようなことを言うかと言うと、どんなに良い大学を出て、STEM OPTをもらったところで、現地での就職は非常に厳しい状況にあります。
私の友人知人の中には、卒業後、VISAを延ばすために無給で研究室のサポート職で働いていたり、帰国する人が大半です。
たまに『現地就職しました』という話を耳にすることもありますが、具体的な彼らのバックグラウンドを慎重に確認することをお勧めします。
確かに、2021年度までは、STEM分野で修士号を取得すれば比較的容易にIT企業へ就職できる状況だったと思います。
しかし、2022年度以降は、私の周りで現地就職を果たした人はごく少数です。CSを専攻していたにも関わらずです。
また、1つ目の修士号を取得した後、現地就職ができずに、2つ目の修士号を取りに来ている人も数人いました。その中には、カーネギーメロン、コロンビア、バークレー、UCLA、MIT、聞いたことがある有名大学の修士号を取ったにも関わらずです。
一方、就職ができる条件をクリアしていれば、普通に面接にも呼ばれますし、リクルーターやリクルートの様なエージェントからも声がかかります。
その条件として挙げられるのは、以下の4点です。
1:博士課程の学生。やはりPhDに対するリスペクト、専門性を欲する企業は山ほどあります。
GAFAMの中には、採用を凍結しているとニュースになっていても、博士課程の学生はインターンとして雇っていましたし、
フルタイムでも採用をしていました。
2:女性で修士号
理由は分かりませんが、修士課程の女性は、比較的インターンにも採用されやすく、就職にも繋がりやすい傾向があります。
もちろん、中には、苦戦している人がいることは否めませんが、履歴書審査(Resumeスクリーニング)は、パスしやすい様です。
3:3年以上の職務経験がある人
インドの学生は、学部を卒業し、3年働いたのちにアメリカの大学院で修士号を取得し、そのまま現地で働くという人が多いです。
この進路は、インドの留学生の間では一般的に知られていることです。
また、ここでの職務経験とは、応募する職種と密接に関連する業務経験が何年あるかを指します。
例えば、営業職を5年間経験した方がエンジニア職に採用される可能性は低いと考えられます。
私の場合、この条件に当てはまるため、過去の職務内容と関連性の高い職種であれば多くの連絡をいただき、VISAサポート付きのオファーをいただいた経験もあります。そのため、現地就職が必ずしも不可能ではないと考えています。
4:グリーンカードホルダー
そもそもアメリカに居住している人なので、厳密には現地就職と呼べるかは曖昧ですが
グリーンカードを持っていると、留学生にとっての大事なVISAサポートという大きな足枷が取れます。
本当にアメリカに何としても残りたいというのであれば、アメリカ人と結婚することも一つの選択肢になるのかもしれません。
もちろん、就職のためだけに結婚することは本来の目的とは異なると思います。
私が留学中に出会ったCS、EEの学生で現地就職をしている友人は、100%この中のどれかです。
逆に考えると、どんなにトップ大学の学部を出ていたとしても、上記に当てはまらなければ、現地就職はできないと思います。
非常に優秀で、教授や企業とのコネクションを持ち、通常の応募ではなく、直接採用されるケースは例外的です。
一般的に、Linkedinやコーポレートサイトから応募してResumeスクリーニングをパスし、Phoneインタビュー、オンラインアセスメントをパスし、
インタビューをパスして、オファーをもらう場合は、上記の4つのいづれかです。
私の感想としては、上記は
大統領が交代しても、この状況が変わることはないと考えています。
理由はエントリーレベルのポジションはAIで代替できるから。
これはハードウェアでもソフトウェアでもLLMのモデルがどこまで対応しているか、だけの問題で、ハードウェアでもソフトウェアでもAIによってエントリーレベルのポジションが無くなっていく流れは変わらないと思います。
従って、何を言いたいかと言うと、
有名大学である必要はなく、とにかく働いて3年以上の職務経験を積むことが重要です。
確実に現地就職を目指すのであれば、5年間の職務経験を積んだ後に挑戦するか、博士課程にアプライする方が望ましいと考えます。
また、職歴をつけるための会社はどこでも良いわけではなく、グローバルカンパニーであることも重要です。
日本で言う大企業ではなく、特にアメリカ企業のグローバルカンパニーです。
理由は、グローバルカンパニーの採用基準は世界共通であり、ex-Googleやex-Amazonといった経歴があることで、候補者のスキルレベルがリクルーターに容易に伝わるためです。