🔮2【女司祭】THE HIGH PRIESTESS.
抜け道は意外な所にある。
普段通っている道に入ったことはないけど「気になっていた店」があった。
いつ開いてるのか閉まってるのか分からない店。
勇気を振り絞って入ってみる。
気軽に店主と話してみると色んな事情があって長期の休みが立て続けに何度も入ってしまったらしい。
「開いているか開いていないか分からない店」にはやっぱりお客さんは少ない。
私の絵を飾ってくれると言うので、渡りに船でお言葉に甘えた。
お礼に彼女の心の声に耳を澄ませる時間を作ってみる。
芸能人や財界の有名人たちとの写真を魔女が見せながら昔話に華を咲かせる。
ゴルフ雑誌に載る自分の姿や東京でバリバリいわせていた頃の物語を得体の知れないおっさんに沢山話してくれた。過去の記憶に想いを馳せながら老女はキラキラと輝いていた自分を懐かしむ。
話が一通り終わると「…でもいまはただのオバさん」と少し寂しげに言葉を濁す。
かつて少女だった彼女に連れられて、自慢の天国へ案内して貰った。
お店の2階には20人以上が宴会を開けそうな広間があって、最新のカラオケ設備やシアター環境が整っている。
「ここ好きに使って良いから何か面白い事をしよう」と魔女みたいな店主に誘われた。
一体これから何が始まるか分からないけど、小説か漫画の主人公になったつもりで楽しむことにする。
どうやら阿弥陀経の中に出て来る「極楽浄土」はそこかしこに隠れているみたいだ。