”むしょく“のおっさんが絵描きになるまでの物語。
仕事もせずにプラプラ遊び歩く私がひょんな事から「絵を描く仕事」を依頼されて描き上げるまでを下らない文体で書いています。
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2022年2月の記事一覧
「結」 ー Phase 5 ー Uzumakism
荒れ狂う海を越えた頃には船員の殆どが体の何処かしらをぶつけて負傷していた。
私も波で激しく揺さぶられた所為で酷い船酔いに苦しめられている。航海に向けて船出したあの“港のナギ”は、もう随分遠く振り返っても見える筈もない。
すっかり太陽が登った水平線の向こうに二基の灯台が見えて来た。少し背の高い方には“虎”を象った彫刻が施されている。背の低い方には見事な“龍”が壁面を取り囲む様に描かれている。
ジャッ
「結」 ー Phase 6 ー Uzumakism
荒くれ者と夜の海へ旅に出る事に少し飽きて来ていた私は、この船旅を終えたら内陸を一人旅する事にしていた。とは言え、どんな困難が待ち受けるか分からない旅を自分の足だけで乗り切れる自信がない。下船して夜の港街を彷徨きながら、さてどうしたものかと考えを巡らせていた。しばらく大通りを歩いていると酒場の入り口の明かりが私の目に入って来た。そこで妙案を思い付く。
そうだ、あのキッシュが美味い酒場で誰彼構わず話し