美少女プラモデルを買った話
美少女プラモデル、いわゆる美プラを購入した。
何の予備知識もないシリーズのキットだが、箱絵に漂うノワールな雰囲気に惹かれて手に取った。本といいプラモデルといい、こういったものをパッケージの第一印象だけで購入することは別段珍しくもない。
分厚い箱をえっちらおっちら抱えて帰宅、制作開始。
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ところで、だ。
この手のフィギュア的なキットを組む時に、独特の不安が伴うのは私だけだろうか。
綺麗に組み上げなければ、今作っているそれの恨みを買うのではないか、と。
小学生の頃、怪談がブームとなった時期があった。
それら種々の恐怖物語において、人形という物品はしばしば主題として立ち現れる。
『呪いの◯◯人形』『恐怖!◯◯人形の館』などといった具合である。
粗末に扱われ、持ち主に恨みを抱くに至った人形。
持ち主が非業の死を遂げ、その未練が宿った人形。
それに触れた人間の乱暴な所作、あるいはちょっとしたミスによってそれは解き放たれ、何らかの害を為す─そんな物語たち。
成人した私はそうした怪談を信じなくなった訳だが、その当時に醸成された『人の形を持つものを粗末に取り扱うこと、扱うに際して手元を狂わせること』への恐怖じみた抵抗感はそのまま残った。
結果、私は人形焼を食べられなくなり、踏んで壊さぬよう道端の小人の置き物を避けて歩くようになり、今こうして美プラに向き合う私の手はガタガタと震えている。
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南無三、文章をこねくり回して注意が散漫になったのが運の尽きだ。
頭に取り付けるパーツの左右を間違えてしまった。
明日の朝、私はどこぞのアパートの一室で密やかに変死していることだろう。
大島てるが更新されてしまう!