経口型宇宙船に乗って時空旅行 抗ヒスタミン剤と風邪薬とスト酎のカクテル号


仰々しいタイトルであることは重々承知の上である。
要はストゼロと風邪薬(有効成分:デキストロメトルファン)と鼻炎薬のカクテルでキマったまんま寝た時に見た光景を記す、そんな夢日記である。
4本立てでどうぞ。

強制親離れ体験

ある日両親が、いやに改まった態度で俺に向かい合う。
親父がこう切り出した。
『お前はもう大人だ、だから我々にしてやれることはもうない。仕送りも今日を以てカットだ』

ショックで崩れ落ちる俺。この先どう生きればいいのやら。

『だが、我々はあなたのことを今までも、これからも愛している。それだけは覚えておいてほしい』 

くずおれる俺の頭を、母の手が優しく撫でた。


私は泣きながら母に抱きついた。
私が母を大好きなのは、唯一無二の母だからだ。ATMだと思ってたからじゃない。


手巻きタバコ誤飲

『何で手巻きタバコやんないの?今の時代完全にコレだよ。お前完全に遅れとるわ』

いつものムカつく奴がムカつく口調で私を煽ってきた。

はいはいしょうがないですね、やりますよ。

近所のコンビニで巻紙とシャグとフィルターを買ってきた。
そこそこ値が張ったがランニングコストは普通の紙巻よりかはだいぶ安いらしい。

見様見真似で巻いてみたが意外と上手くいった。

私はライターでタバコの先端に火をつけ、


『シュゴンッ!』

タバコを吸い込んだ。
タバコを『まるごと』吸い込んだ。


体調不良とヤブ鍼治療ロボット

どうにも体調がすぐれないので、熱を測ってみたら36度5分。

平熱が26度なので、死の一歩手前の高熱である。


体壊して熱出しちゃった、と母にLINEをした。

大丈夫?
まあなんとか

というありきたりなやり取りの後、『ここ行きなさい』と勧められたのは、病院ではなく鍼治療院。

ものは試しに行ってみる。

治療台に縛り付けられた私は、無数の鋭い突起がついたプレートを見た。

そのプレートはあろうことか、焼かれて赤熱していた。

洗車機のようなマシンがそのプレートをアームで拾い、カンカンに焼けたトゲで私の腹を撫で、私は焼肉屋でしか聞かないような音を、しかし私の腹の上から耳にした。


AI(が作ったクソみたいな)アニメ

今季の覇権アニメが、異様な速さで映画化されるというので、観に行ってみる。

映画館のシートからはどことなく刺激臭がするし、壁はひび割れて外界の光を漏らしているが、そんな事はどうでも良かった。
アニメ映画をリアタイで追うのなんて滅多にやることじゃない。しかしこれで私はようやくオタクを名乗れる。


カメラ頭の踊りを見終わり本編スタートと相成ったわけだが、上映開始5分ほどでシアターを出た。


何を隠そう、NovelAIによって描かれたイラストが紙芝居のようにパラパラと切り替わり、そこに声優のセリフが当てられているだけの代物だった。
これはクソだ。いくらアニメに詳しくなくてもこれはクソだと判断できるはずだ。できない奴は猿か、この映画の製作陣だ。


というかそもそも、アニメ自体のローンチから映画化までの期間が殆どなかった時点で、全てを疑ってかかるべきだったのかもしれない。
これは私の不手際だ。


地球への帰還

不条理かつクソ益体もない出来事がこうも立て続けに起こると、これは多分夢なのだろうという疑いが生じる。これは起きている時でも寝ている時でも同じだ。

試しに目のある場所の穴に指を捩じ込んでみると、眼球に触れるはずの私の指は瞼にしか触れなかったので、その疑いは確信に変わった。

無理やり目を見開いてみる。

私の下宿だった。
主線なしのイラストのように見えるが、私の下宿だった。

半開きのカーテンに四角く切り抜かれた朝の蒼穹が、窓際の私の顔面を照らしていた。


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