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奇跡のような偶然で虎党に出会った
#35
2003年8月27日の巨人戦。
僕は甲子園の外野席で一眼レフカメラを抱え、
狭い通路の階段を駆け上がって行くと、
虎の法被を着た派手な男と目が合った。
「あっ、Nさん」と声をかけた。
15年ぶりだった。
鳴尾浜の工場に勤めていた頃、
お世話になった先輩だ。
「お前、いくつになったんや」
「35です」
「ワシは53や」
短い言葉を交わすと、
大歓声で会話はかき消された。
振り向くと、桑田から逆転3ランを放った
金本がセカンドベースをゆっくり回っていた。
二人はその瞬間を見逃していた。
転職したデザイン事務所には酒飲みが多かった。
日が暮れると社長はマージャンに出かけ、
先輩は机の下から一升瓶を出し酒盛りを始める。
僕はそのタイミングを見計らって映りが悪い、
古い家具調テレビのツラを叩きながら
サンテレビにチャンネルを合わせる。
ある日、放送中に応援ファックスを募集していて
それを見ていた上司のデザイナーのKさんに
「何かおもろいこと書いて送れ」と言われ、
「虎党の上司が僕が先に帰ると負けるから
試合に勝つまで家に帰らせてもらえません」
みたいなことを書いてKさんが
亀山のイラストを描いて送ると、
放送中に応援ファックスを読んでもらえた。
夜勤の弁当工場では全試合甲子園で観戦し、
試合途中に抜けて出勤してくる猛者もいたし、
今の夜勤の現場には北條史也の父親と同級生や、
ライトの年間予約席2席を持っている同僚がいる。
虎党人生も長くなると、いつどんなときも
僕の周りには愛すべき虎党たちがいる。
今週の虎の呟き😥
今じゃパワハラ案件も笑って過ごせた良き時代。